杏林医学会雑誌
Online ISSN : 1349-886X
Print ISSN : 0368-5829
ISSN-L : 0368-5829
特集「末梢動脈疾患(PAD)・肋骨骨髄炎・褥瘡」
重症下肢虚血における創傷治療
匂坂 正信大浦 紀彦橋本 光平小倉 ふみ子北 幸紘多久嶋 亮彦
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 50 巻 1 号 p. 5-10

詳細
抄録

 重症下肢虚血(Critical Limb Ischemia : CLI)とは末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease : PAD)の中でも,下肢安静時疼痛,下腿 潰瘍・壊疽を呈するものを指し,予後不良である。
 CLIの創傷治療には血行再建が必須であり,血管内治療やdistal bypass術を行う。これらの治療によって血流が再開しない場合が問題であり,従来は大切断が施行されていた。しかし,現在はdistal venous arterialization(DVA)や,保存的にはLDLアフェレーシスや高気圧酸素療法,遠赤外線治療などがあり,下肢救済の一助となっている。
 創傷治療においては,感染を考慮しながら,血行再建とデブリードマンのタイミングを適切に行うことがポイントである。また荷重部と非荷重部で再建方法を変えることも,歩行のための下肢救済では不可欠である。

著者関連情報
© 2019 杏林医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top