2019 年 50 巻 1 号 p. 5-10
重症下肢虚血(Critical Limb Ischemia : CLI)とは末梢動脈疾患(Peripheral Arterial Disease : PAD)の中でも,下肢安静時疼痛,下腿 潰瘍・壊疽を呈するものを指し,予後不良である。
CLIの創傷治療には血行再建が必須であり,血管内治療やdistal bypass術を行う。これらの治療によって血流が再開しない場合が問題であり,従来は大切断が施行されていた。しかし,現在はdistal venous arterialization(DVA)や,保存的にはLDLアフェレーシスや高気圧酸素療法,遠赤外線治療などがあり,下肢救済の一助となっている。
創傷治療においては,感染を考慮しながら,血行再建とデブリードマンのタイミングを適切に行うことがポイントである。また荷重部と非荷重部で再建方法を変えることも,歩行のための下肢救済では不可欠である。