杏林医学会雑誌
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特集「公認心理師」
多職種専門家チームにおける子どもと家族の心理療法 ~英国のシステムと訓練の紹介~
脇谷 順子
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2020 年 51 巻 1 号 p. 51-54

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抄録

2018年度,心理職初の国家資格である公認心理師が誕生した。その目的は,国民の健康の保持増進に寄与すること,並びに,保健医療,福祉,教育,その他の分野において,多職種専門家と連携・協働しながら,心理的支援を要する者への支援を行うことである。
本稿は,多職種連携・協働の一例として,英国の精神保健医療における多職種専門家チームによる子どもと家族の心理療法についての記述である。英国の公立病院やクリニックには児童青年精神保健部門があり,児童精神科医,児童青年心理療法士,臨床心理士,ソーシャルワーカー,家族療法士などから成る多職種専門家チームで子どもと家族の心理的な治療,及び支援を行う。児童青年精神保健部門に紹介されてきた子どもと家族が,包括的アセスメント面接を経て,子どもの個人心理療法,及び親との面接などの治療や支援を受けるまでの流れを紹介する。多職種専門家チームには各職種の訓練生も所属し,同職種,並びに他職種専門家と臨床ケースを担当し,チーム医療と支援について学んでいく。理論学習,臨床実践,個人精神分析体験の3本柱から成る児童青年心理療法士の訓練についても紹介する。

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