教育哲学研究
Online ISSN : 1884-1783
Print ISSN : 0387-3153
現代教育と青少年の問題行為
杉谷 雅文
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 1979 巻 39 号 p. 1-4

詳細
抄録

現代、青少年にさまざまな不徳、犯罪行為が続出し、しかもそれらが日増しに兇悪化し、低年齢層に浸透しつづけている。これらの原因にはいろいろのものがあり、従ってその対策にも多様なものがある。しかし一番大きな根本の原因は、青少年を教育する大人たち、--学校教師、家庭の父母、社会の大人たちとりわけ政治家たち--が抱く自由の概念のあいまいさ、誤まり、根拠のない楽観論にあると思う。
つまり終戦以後三十年余にわたって、われわれ大人が、それが間違いなく正しいものとして教えられ、かつ青少年に教えつづけてきた、あの自由の概念が、なんの吟味も根拠もなしに安売りされ、受売りされて、熱病のようにまず教育する側のわれわれ大人に伝染し、ついで教育される青少年に広く拡がって行ったのである。こうして一億総べて悪性自由病に感染している。
現代に見られる青少年のいろいろな問題行為は、けっきょくこの自由病の現われ、発作に他ならぬ。して見れば、責められるべきは青少年ではなくて、われわれ大人達なのである。では自由概念の誤まりは何であり、どこにあるのだろうか。

著者関連情報
© 教育哲学会
次の記事
feedback
Top