九州病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-0035
Print ISSN : 0385-6410
ISSN-L : 0385-6410
病害
イチゴうどんこ病の苗での越夏
稲田 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 60 巻 p. 30-36

詳細
抄録
イチゴ本圃でのうどんこ病の効率的な防除技術を確立するため,育苗期の苗における本病の発生実態を調査した。本病の標徴は,葉裏に盛り上がった菌叢を伴う進展型と,菌叢が消失し葉裏の表面に菌糸のみが認められる停止型の二種類に類別された。進展型標徴には分生子が豊富に形成されているが,時間の経過とともに菌叢が消失し停止型標徴に移行した。8月下旬には進展型標徴は認められなくなるが,停止型標徴や肉眼で標徴を認めない葉に分生子の形成が認められるとともに上位葉での感染が確認された。これらのことから,本病は夏季においても,分生子によって上位葉への伝染を継続し,株上で越夏することが明らかになった。秋季における本病の発生は株上での越夏程度に左右され,7月~8月において,日中の大半の時間帯(8時間以上)で気温が30℃を超える高温日が16日間以上連続するような場合には,越夏が抑えられ秋季の発生が抑制されると推察される。
著者関連情報
© 2014 九州病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top