九州病害虫研究会報
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虫害
移植時期が異なる水田におけるイネ南方黒すじ萎縮病の発生
松比良 邦彦井上 栄明
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2014 年 60 巻 p. 57-63

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抄録
セジロウンカが媒介するイネ南方黒すじ萎縮病の発生と移植時期との関係を明らかにするため,大型吸引トラップの飛来虫数と保毒虫率および水田での発病株率について調査した。2012年の飛来虫数はやや少,主飛来波の保毒虫率は7月中旬の4.1% であった。水田の発病株率は,大型吸引トラップで保毒虫が確認された時期に,移植から11~14日経過していた6月下旬移植の「ミズホチカラ」での3.2% が最大であった。2013年の飛来虫数は少,主飛来波の保毒虫率は,6月下旬~7月上旬の3.1% であった。水田の発病株率は,大型吸引トラップで保毒虫が確認された時期に,移植後7~14日経過していた6月中旬移植の「あきほなみ」での1.1% が最大であった。2カ年の結果から,大型吸引トラップで保毒虫が確認された時期に,移植後7~14日にあたる水田の発病リスクが高いと考えられた。現状での移植7~14日後は,箱施薬剤で保毒虫の防除は可能で媒介抑制効果も充分期待される。しかし,今後の薬剤感受性変化や高い保毒虫率の個体群の多飛来も十分考えられ,媒介リスクの上昇に警戒する必要がある。
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© 2014 九州病害虫研究会
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