抄録
2014年に宮崎県の施設ピーマンでモトジロアザミウマが初確認された。今後の再発生時の防除対策に活かすため,本種に対する各薬剤の殺虫効果とスワルスキーカブリダニの補食量を調査した。成幼虫ともに補正死虫率が約90%以上だった薬剤は,メソミル,ニテンピラム,スピネトラム,スピノサド,アバメクチン,エマメクチン安息香酸塩,クロルフェナピル,トルフェンピラドの8剤であった。また,幼虫対象の薬剤ではスピロテトラマト,フルフェノクスロンおよびルフェヌロンの死虫率が97.2~100%と高かった。ニテンピラム,スピノサド,エマメクチン安息香酸塩のLC50値は,各37.1ppm,1.0ppm,1.5ppm であり,ニテンピラムのLC50値が高いことから今後の薬剤抵抗性の発達が懸念される。また,モトジロアザミウマ1齢幼虫は,スワルスキーカブリダニ雌成虫1頭に2.8±1.0頭/ 日捕食され,ミナミキイロアザミウマの7.2±1.9頭/ 日よりも有意に少なかった。