抄録
ピーマンでのスワルスキーカブリダニのカップ放飼法において,ピーマン株同士を麻ひもでつなぎ,スワルスキーカブリダニの移動促進を図ることによる紙コップ設置数の削減について検討した。麻ひも設置区では,隣接株と茎葉による接触が無い定植14日後においても,放飼株から無放飼株への良好な移動が確認された。無設置区では調査期間を通じ移動はほとんど認められなかった。また,麻ひも設置区における各無放飼株上のカブリダニ生息数は,全株放飼区と大きな差が認められなかった。これらのことから麻ひも設置は,紙コップ設置数を削減でき,農家の労力低減に有効な手法であると考えられた。また,生産現場で一般的に利用されているポリピロピレン製ひも2種類およびエスター線は,麻ひもと同様にスワルスキーカブリダニの移動分散に有効であった。