九州病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-0035
Print ISSN : 0385-6410
ISSN-L : 0385-6410
ミカン貯蔵病害発生予則の地域差について
山本 滋磯田 隆晴
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 21 巻 p. 115-118

詳細
抄録

1. 貯蔵中の柑果の腐敗の多寡を事前に予測できるか否かについて,県内代表産地の温州,川野夏橙について河内町で生産された果実をもとに検討した予測式の適合性について検討した。
2. 鹿北,河内,三角,田浦町および本渡市の柑橘園において,昭和44~46年にわたって鹿北町は温州成,幼木,他の産地は温州成,幼木および川野夏橙を対象として果実を収穫し,産地貯蔵庫と果樹試験場貯蔵庫にそれぞれ分割貯蔵し,腐敗状況ならびに減量を調査した。
3. 鹿北町では成,幼木とも貯蔵中の腐敗はいずれの年とも少なかった。葉果比とも関連して幼木での果実の
腐敗が全般に多かった。また3ヵ年を通して昭和46年産果実の腐敗は多かった。
4. 産地,成,幼木別に貯蔵果実の腐敗量の実測値とこれが予測値を求め,単回帰式の有意性の検定を行なった。
5. 腐敗量と6月の積算最高気温との間の方が7, 8, 9月の積算最高気温による場合よりも精度が高い。
6. ±ISEの範囲に実測値がある場合,予測値が適中したと判断すると,河内,田浦町は予測値の適申度は高く,本渡市,三角町がこれに次ぎ,鹿北町は予測値と実測値間には相異がみられる。

著者関連情報
© 九州病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top