九州病害虫研究会報
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コブノメイガによる水稲被害の定量化と予測
寒川 一成清田 洋次
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1995 年 41 巻 p. 58-62

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抄録
1. コブノメイガ幼虫の葉当りの食害痕の面積は4.6±1.7cm2であり,1頭の老齢幼虫は平均3.5葉を食害すると推定された。食害部分は,止葉ではほぼ中央部,上位第2~3葉では先端から25cm以内の部分に偏在し,食害を受けた止葉では無傷部分がほとんど残余しなかったが,上位第2~3葉では葉身の約半分が無傷であった。
2. コブノメイガの食害を模擬した切葉試験により,出穂期前後の上位3葉,特に止葉の葉面積の欠損が,登熟歩合を低下させる主な減収要因になることが示唆された。従って,コブノメイガの発生予察においては,普通期水稲の出穂時期と本種の老齢幼虫発生盛期との同調性を注視した予察情報が重要な意味をもつと考えられた。
3. 出穂期のコブノメイガ幼虫による被害葉率を,1世代前の幼虫による被害株率から推定する方法を提示した。同時に,被害株率から推定される被害葉率を防除要否の指標とするためには,水稲の作況情報を参考にした重み付けの必要性を指摘した。
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