1)熊本県での施設栽培における果菜類灰色かび病菌について,1985年から1994年までベンズイミダゾール系薬剤およびジカルボキシイミド系薬剤に対する耐性菌発生の推移を調査した。
2)ベンズイミダゾール系薬剤耐性菌は,トマト,ナス,キュウリでは調査開始直後から60%以上の高率で発生しており,本系統薬剤による防除効果は期待できない。
3)ジカルボキシイミド系薬剤耐性菌は,トマト,ナス,キュウリ,イチゴのいずれの作物においても,調査全期間を通じて10%前後の発生で,本系統薬剤による防除効果は期待できる。
4)1994年のジエトフェンカルブ剤に対する耐性菌の発生状況調査の結果,ベンズイミダゾール系剤とジエトフェンカルブ剤に耐性を示すRSR菌が,キュウリで4菌株,さらにジカルボキシイミド系剤にも耐性を示すRRR菌が,ナス,キュウリでそれぞれ1菌株確認された。本剤に対する耐性菌の確認は,熊本県では初めてである。
5)RSR菌及びRRR菌のチオファネートメチル剤及びジエトフェンカルブ剤に対する反応は,いずれもMICが3.200ppmと高度耐性であった。しかしRRR菌のプロシミドン剤に対する反応は中程度であった。
6)ジエトフェンカルブ剤に対する耐性菌の出現は,1994年の調査結果ではわずかであった。今後,増加するものと考えられる。
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