九州病害虫研究会報
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フタテンチビヨコバイのイネ幼苗を用いた累代飼育法とトウモロコシ品種のワラビー萎縮症抵抗性簡易検定法
松村 正哉徳田 誠
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2004 年 50 巻 p. 35-39

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抄録

フタテンチビヨコバイCicadulina bipunctata (Melichar) は北アフリカ,アジア熱帯地域からオーストラリア北部にかけて広く分布し,トウモロコシにワラビー萎縮病と呼ばれる萎縮症状を引き起こす。日本では,これまで熊本県の一部を中心に,1986年以降に飼料用二期作トウモロコシで被害が発生している。本種の加害に対して抵抗性を示すトウモロコシ品種の育成のためには,簡易増殖法と幼苗を用いた室内での簡易抵抗性検定法を確立する必要がある。そこで,イネ幼苗を用いた本種の簡易増殖法と,トウモロコシ幼苗を用いた簡易抵抗性検定法を確立した。本種はイネ幼苗で容易に飼育可能で,25℃16時間日長の条件下では1世代28~35日で累代飼育が可能であった。1世代の増殖効率は3.9倍であった。簡易抵抗性検定法を確立するため,播種後6日のトウモロコシ(2葉期)に本種の成虫2対を3日間放飼して,放飼期間中の葉の伸長量および,放飼虫回収後6日間の葉の伸長量とワラビー萎縮症状の有無を測定・観察した。
この方法によって,本種の加害に対するトウモロコシの抵抗性程度の品種間差異を簡易に判定できることが明らかになった。

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