九州病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-0035
Print ISSN : 0385-6410
ISSN-L : 0385-6410
稲黄化萎縮病の発生と被害について
板山 俊夫
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 6 巻 p. 61-62

詳細
抄録
1.稲黄化萎縮病罹病苗の混植割合を異にして栽培した場合の稲の発育様相並びに収量に及ぼす影響を検討した.
2.罹病苗の発育は,罹病苗単独挿秧区の草丈は健全茎に比較しかなり低かつたが,分けつは多く概して発育旺盛であつた.
3.罹病苗と健全苗と混植した場合の罹病茎の発育は,健全茎との発育競合により抑制され,特に混植した健全茎の発育が旺盛な株ほどこの傾向は高かつた.
4.木病の感染は苗代初期に感染した以外に本田においての感染は全く認められなかつた。
5.罹病茎の出穂はきわめて少なく大部分が出穂不能に終り,わずかに罹病苗単独挿秧株で認められるも,出穂時期は健全茎に比較してきわめておくれ,加えて奇型を呈するものが多く完全に稔実する穂は全く認められなかつた.
6.収量は健全区に比較し罹病苗混植区は明らかに減収が認められたが,健全苗2本に対し罹病苗2本及び1木の割合に混植した場合の各混植区間相互の収量差はきわめて少なかつた.このことからして罹病苗混植区の減収は1株当りの健全苗の挿秧本数の減少によるものと推察される.
7.以上の結果からみて苗代期に本病の発生が認められた場合の防除対策としては,罹病程度が軽い場合は罹病苗の淘汰を行わずとも1株当りの健全苗の栽植木数を増加することにより本病による被害を軽減し得るものと考えられる.
著者関連情報
© 九州病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top