九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2019
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GMFCSレベルⅣ利用者におけるGMFM66と体成分分析との関連性
*塩屋 雄一*岩下 大志
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p. 73

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抄録

【目的】

脳性麻痺児・者におけるGMFMレベルIVの方々は、制限を伴った自力移動であり、活動量は少ない状況である。脳性麻痺は非進行性ではないが加齢に伴い、二次的障害が出現し活動制限を余儀なくされる。今回、GMFCSレベルIV利用者のうち平均年齢14.3歳と40歳の群におけるGMFM66と体成分分析との関連性について考察したので報告する。

【対象】

GMFCSレベルIVの平均年齢14.3歳の3名(A群)と平均年齢40歳の3名(B群)にて検討した。

【評価方法】

評価は平成31年3~4月間にGMFM66とInBody S10(株式会社インボディジャパン)を用いて、①骨格筋量、②BMI、③体脂肪量、④体水分量、⑤基礎代謝量を測定し、GMFM66と①~⑤の各々でピアソン相関係数を実施した。

【結果と考察】

GMFM66はA群46.89、B群46.03と若干の差はあるも片膝立ちや立位保持、歩行のスコアが獲得できていない結果であった。A群におけるそれぞれの平均値は①が10.6、②が14、③が3.4、④が16、⑤が839であった。B群におけるそれぞれの平均値は①が19.1、②が16.8、③が5.9、④が26.2、⑤が1135.3であった。①、④、⑤はいずれもB群が高値であったが、B群のそれぞれの体格における標準値からは低値であり、逆にA群は体格における標準値内に入る値であった。GMFM66と①~⑤の各々でピアソン相関係数では、①③④⑤においてA群は①でr≦0.94、③でr≦0.92、④、⑤でr≦0.89と強い相関が見られた。B群は③でr≦-0.96と強い相関が見られたが①②④⑤では-0.08≦r≦0.2の間にあり、相関が見られない数値であった。またA群における②ではr≦-0.44と中等度の相関であった。このことから年齢の若いA群では、B群よりも人体に必要な水分量や骨格筋量も多く、基礎代謝量も高めであるため、B群よりも活動量が多いと思われる。しかしA群の②の結果から経年によって今後増加し、B群のような結果になることが示唆された。

【まとめ】

HannaによるとGMFM66の運動発達曲線からGMFCS

レベルIVは、7歳以降からレベル低下をきたす傾向であると言われている。A群・B群における体成分は共に全てにおいて正常基準値よりも低く、基礎代謝量も低値である。当センターにおける一日の必要エネルギー所要量の計算は、身長・体重から割り出せる体表面積と活動指数から求めている。しかし個々に適切かは未だ疑問に残る課題である。今回、評価・検証から経年とともに体脂肪量やBMIが上がり、活動量は減る傾向であると示唆されたため、その対応を検討する必要性がわかった。さらに縦断的・横断的に調査し今後、利用者の運動機能の向上や予後予測、そして日常生活や地域社会への参加を実現するために努力していきたいと考える。

【倫理的配慮,説明と同意】

本人とご家族に研究の説明を行い、同意を得た。またヘルシンキ宣言に則り、当センターの倫理委員会で承認を得た。

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© 2019 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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