主催: 日本理学療法士協会 九州ブロック会
会議名: 九州理学療法士学術大会2022 in 福岡
回次: 1
開催地: 福岡
開催日: 2022/11/26 - 2022/11/27
【はじめに】
脳卒中治療ガイドライン2021 において、内反尖足がある患者に対して歩行機能を改善させるために短下肢装具(以下、AFO)を使用することは妥当である(推奨度B エビデンスレベル高)といわれている。AFO には多くの種類があり、その一つにUD フレックスAFO(アドバンフィット株式会社)がある。UD フレックスAFO は、湯之児式AFO の長所である、装具装着側の靴のサイズを大きくする必要がないということを保持したまま、短所である下腿前傾を制限することを改善するために作製されたAFO である。湯之児式AFO の特徴である前面支柱部をU 字型に分割し、内張りのネプレン生地をベルクロで調整することで、下腿前傾の制動力を調整することを可能にしている。UD フレックスAFO は、前面支柱の長さが湯乃児式AFO と同様であるロングタイプ、内外果より少し上の長さであるショートタイプがあり、中等度から軽度麻痺まで幅広い対応が可能になっている。しかし、UD フレックスAFO のベルクロ部とコルゲーションの形状から、ロングタイプからショートタイプへの変更ができず、ロングタイプを作製し症状が改善した場合、ショートタイプを作製し直さなくてはならない。そこでUD フレックスAFO ロングタイプを改良することで、問題を解決することができたので報告する。
問題点改善のための改良点
UD フレックスAFO ロングタイプの前面支柱の下腿ベルトの装着部位の形状を延長し、ショートタイプにした際も下腿ベルトを取り付けることができるようにした。また、短くした場合にも装具の耐久性が低下しないように、コルゲーションの形状を2 ヶ所で切れるように枝分かれさせた。上記改良によりUD フレックスAFO ロングタイプからの長さの調節が可能となり、従来のロングタイプ、ショートタイプだけでなくミドルタイプへの変更も可能となった。
【症例提示】
右内包後脚域に脳梗塞を発症し保存加療後、20 病日後にリハビリ目的で当院入院となった。入院時はB.R.S 上肢Ⅲ・手指Ⅱ・下肢Ⅴ、下肢の表在感覚10/10 深部感覚8/10、FAC2 で遊脚期につま先の引っ掛かりがみられていたが徐々に改善すると考え、段階的に長さの調節が可能な改良したUD フレックスAFO ロングタイプを作製し、27 病日後に完成となった。60 病日後には入院時よりつま先の引っ掛かりは改善したものの裸足、UD フレックスショートタイプでは若干のつま先の引っ掛かりがみられた。そのためUD フレックスロングイプからミドルタイプへ変更を行った。86 病日後にはさらに改善みられ、裸足時に若干のつま先の引っ掛かりがみられる程度となった。そのためUD フレックスミドルタイプからショートタイプへ変更を行った。
【まとめ】
脳卒中片麻痺において下肢装具は必要なものである。しかし、発症後早期にリハビリテーションを実施することにより、徐々に症状の改善がみられる。それに伴い装具の調整も必要であり、調整が可能となっている装具も増えてきている。UD フレックスAFO においても同様で、今回の改良を行うことにより、麻痺の改善に伴い調整できるようになったため、状態の変化に伴い幅広い対象に使用できるようになった。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に沿って行い、対象者には十分な説明を行い同意を得た。収集した情報は個人情報が特定できないよう十分な配慮をした。