九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2022
セッションID: P-11
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コロナ禍における回復期病院と急性期病院間のリハビリ連携の取り組みと満足度調査
小川 弘孝
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抄録

【はじめに】

当院は回復期リハビリテーション(以下リハ)病棟を222 床有する病院である。病床数が多いため、法人内の関連施設だけでは必要な患者数を満たすことが難しく、市内の急性期病院との前方連携により紹介患者の増加を目指して、地域連携リハビリマネジャーという地域連携を担うリハ専門職を配置し、急性期病院を訪問してのリハ専門職との対面での申し送り、急性期病院での成果報告などをこれまで積極的に行ってきた。

しかし、2020 年に発生した新型コロナウィルスの感染拡大により、これまでの訪問型のリハビリ連携は実施できなくなり、オンラインによる会議アプリの活用による申し送りとDVD 作成による成果報告に転換することを余儀なくされた。

そこで今回、急性期病院のリハ専門職に対してコロナ禍により変化したリハビリ連携の満足度調査を実施したので、結果に考察を加え報告する。

【目的】

コロナ禍における当院のリハビリ連携に関する満足度を調査する。

【方法】

2021 年6 月16 日から2021 年6 月21 日の間にグーグルフォームを用いたオンラインアンケートを実施した。対象はリハビリ連携を実施している急性期病院2 施設のリハ専門職45 名とした。設問内容は①オンラインでの申し送りの満足度、②オンラインでの申し送りでの印象、③成果報告DVD の満足度、④成果報告DVD に関する印象、⑤当院とのリハビリ連携の総合的満足度とした。

①、③の設問は4 件法での選択形式、②、④は設問に対する該当項目を選択する形式とした(複数選択可)、⑤の設問は11 段階評価とした。

【結果】

アンケートの回答数は45 名、回収率100%であった。①オンラインでの申し送りの満足度は「満足」33(73%)、「やや満足」11(24%)、「やや不満」1(2%)であった。②オンラインでの印象としては「リハサマリを作成しなくてよい」43(98%)、「患者さんのことが正確に伝わる」37(82%)、「成果報告がある」10(23%)の順に多かった。③成果報告DVDの満足度は「満足」17(39%)、「やや満足」15(34%)、「やや不満」1(2%)、「不満」3(7%)であった。④成果報告DVD に関する印象としては「患者さんの最終ゴールがわかりやすい」27(60%)、「今後も継続してほしい」21(47%)、「報告頻度が少ない」13(29%)の順に多かった。⑤当院とのリハビリ連携の総合的満足度は11 段階評価で平均8.4、中央値は8 であった。

【考察】

今回、これまで実施してきた訪問型でのリハビリ連携からオンラインでの申し送り、DVD での成果報告に転換することを余儀なくされたが、総合的満足度としては平均8.4 ポイントであった。具体的にはオンラインで当院に転院するすべての患者さんの「リハサマリの作成が不要」という点および「患者さんのことが正確に伝わる」という点が高く評価されたものと考える。一方で成果報告のDVD に関しては申し送りと比べて「やや不満」「不満」のポイントが高く、具体的項目で「申し送りの頻度が少ない」という意見があった。こちらに関しては動画作成方法の見直しを図り、報告頻度の増加を目指したい。

今回のアンケートの問題として、依頼者が筆者本人ということもあり、筆者との関係上回答率が高く、満足度が高く出たということも否定できない。アンケートの実施方法も今後の課題と考えられる。

【結論】

コロナ禍におけるリハビリ連携の手段としてのオンラインを用いた申し送りやDVD による成果報告は急性期病院とのリハビリ連携に有効な手段となる可能性がある。

【倫理的配慮、説明と同意】

本演題は無記名のアンケートのため、人を対象とする生命科学・医学研究に関する倫理指針に該当しないため、倫理審査の必要はないとの回答であった。

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© 2022 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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