主催: 社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会, 社団法人 日本作業療法士協会 九州各県士会
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足部は多数の骨・関節・靭帯の他、3つのアーチ構造を持ち、立位・歩行においてショックアブソーバー、姿勢制御機構などとして機能している。今回、足部安定性の異なる健常女性2名(被験者A:足部不安定、被験者B:足部安定)の振り向き動作を三次元動作解析装置にて分析し、更に機能的足底板(以下FOI)を作製し、その効果を比較・検討した。
鉛直方向床反力はBで動作開始直後から減少を示すのに対しAは増加を示し、動作終了時には約7%の増加を認めた。足関節底屈モーメントは両者とも増加したが、Bが平坦に近い波形を示すのに対し、Aでは角度のある立ち上がりを示した。矩形面積とCOP総軌跡長については、「重心動揺面積が小さく安定域面積が大きいほどバランス能力が高い」とされていることから、<COP総軌跡長/矩形面積>を算出したところ、A=1.328、B=2.758となり、AはBより動作時の安定性が低いことが伺えた。
AのFOI装着下では、鉛直方向床反力、足関節底屈モーメントともBに近い波形となった。また、<COP総軌跡長/矩形面積>においても最大値(3.383)を示したことから、FOIが足部の安定を保ち、姿勢制御の補助的役割となって狭い範囲で大きく動くという効率的な動作遂行を可能にしたものと思われる。