九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第25回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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  • _-_QOLからADLへ_-_
    諌山 歩, 太田 研吾
    p. 1
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当院は昭和5年に開設した精神科単科320床の都市型病院である。平成14年、個別開放処遇病棟全員を対象に週1回の買物グループを試みた。主に慢性統合失調症の長期間入院生活している者に対して、自分で買物を繰り返すことにより『QOLの向上』を目指した。買物は原則として、小遣いの範囲で行うことにした。1年が経過し、季節にあった服装ができるようになった者、計画的にお金が使えるようになった者など、日常生活の中で様々な変化がみられた。今回のアンケート調査では、買物グループに参加することで、1)生活の中に楽しみができたこと、2)受身的な病棟生活の中で、主体的に関わりを持てる活動が持てたこと、3)回数を重ねる毎に安心感や余裕が生まれ、季節感や身だしなみなど様々なものに興味・関心が広がったことなどが伺えた。買物・外出は「自分の欲しい物を買う」という目的、動機が明確であるため、他のOT活動には参加しない者もこの活動を楽しみにしており、ADLやQOLを変えていく動機付けには有効であったと考える。
  • 当院の療育支援活動報告
    秋吉  由紀子
    p. 2
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当院は平成13年に小児リハビリテーションを開設した。当初この地域では療育に携わるネットワーク間の情報の共有化がなされておらず、お子さんの能力や問題に対しに各々が異なった評価を示していた。よって当院は地域のお子さんがより生活しやすい環境にするために地域支援体制の確立を目的として積極的に地域の各々のネットワークに関わっていった。その結果、関わっていった療育機関やさまざまな職種の方から当院へのケースの紹介や相談を受けた。その中で当院はOTの専門性を発揮しつつ、地域のネットワークをうまく活用しながら情報を共有化し、お子さんをより広い視点から支援することが出来た。また、専門職だけでなく障害をもつ家族間同士のつながりを持てる場所の提供などを行い、家族からも地域で身近に相談できる専門家が増えることで安心を得られるとの声が聞かれた。このように当院は今回この活動を通じ、一人のお子さんに対し様々な職種間同士が1つのネットワークの中で情報を共有化していくことの必要性を感じることが出来た。
  • 上城 憲司
    p. 3
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    私は過去に痴呆の方を在宅介護する主介護者を対象として、CMI健康調査表(心身両面にわたる自覚症の調査)を用いたアンケート調査を実施したことがある。そのアンケート調査では主介護者の続柄が妻や兄弟である場合の身体的・精神的自覚症の値は、他の続柄が主介護者の場合より有意に高く、不健康性が疑われた。また、夫・息子が主介護者である場合の身体的・精神的自覚症は低い傾向にあった。その調査の中で印象的であったことは、主介護者の続柄が夫である場合は、重度痴呆の妻を介護しているにもかかわらず、身体的・精神的自覚症の値が低いという結果であった。そして、この結果は、臨床場面で私が漠然と感じていた、夫の特徴に類似していた。夫以外の続柄でも、重度痴呆の方を長期に渡り介護している家族はいたが、夫の介護は、熱心に介護するか又はほとんど介護しないかという2つに分かれる印象があり、他の続柄とは違ってみえた。主介護者として介護を引き受けた夫は、しだいに重症化していく妻を介護する過程において、何を考え、また何を感じながら介護を続けているのかという点に興味を持つようになった。そしてそれらを探求することは、今後出会う夫の介護者に対する家族支援に役立つと考えた。
  • 金澤 寿久, 小橋川 敦, 渡久山 竜彦, 貞松 徹, 与儀 哲弘, 小波津 愛, 仲栄真 勝, 又吉 綾, 安慶名 栄輝, 江頭 有朋, ...
    p. 4
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    1982年の老人保健法の制定以来、1989年の「高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略」および1994年の「新・高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略」などによって施設やヘルパー等の整備はすでに策定されていた。しかし、2000年の「ゴールドプラン21」では介護保険事業を進めていく上でのリハビリテーション全般の整備の遅れが指摘され、同2000年に「厚生省老人保健福祉局長通知:地域リハビリテーション推進事業」により地域リハビリテーション支援体制整備推進事業(以下 地域リハ推進事業)が策定された。地域リハ推進事業では都道府県に各1ヶ所「都道府県リハビリテーション支援センター(以下 支援センター)」、そして老人福祉圏域(二次医療圏)の医療機関等を対象に「地域リハビリテーション広域支援センター(以下 広域支援センター)」を設置することとなった。今回、当院が指定を受けた3年間の支援センター活動状況について報告する。
  • 櫟 正樹
    p. 5
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     当通所リハに参加している維持期以後の在宅脳卒中者(以下利用者)にADL,IADL,SDL評価を実施した。利用者の問題点を把握し,今後の当通所リハの方向性について検討した。対象は当通所リハを利用している在宅脳卒中者34名とした。方法は利用者または家族,セラピストにて,BI,FAI,SDL評価を実施した。結果,FAIよりIADL活動が行われておらず,SDLより家事や趣味・社会的活動の満足度が低く,これらの一部に相関が認められた。特に男性は元来家事などを行っておらず,家庭での役割を見出せず活動性が低い傾向にあったと推測できた。在宅での基本的ADLはほぼ自立しているが,応用的ADLや生活満足度は低く,非活動的なライフスタイルであった。そこで,当通所リハでは社会参加への発展援助を目標に種々の希望(ニーズや役割)を引き出し,生きがいを見出す支援体制が必要と考えた。具体的には_丸1_家事や外出などのIADL,_丸2_陶芸や手芸などの趣味娯楽系アクティビティ,_丸3_パソコンや料理などの教養(教わる)・講師(教える)系アクティビティを用意した。当通所リハはIADLアプローチやアクティビティにて社会参加を促す準備段階としての機能が重要だと考えた。将来的に,地域の福祉センター活用やカルチャークラブ参加,自主グループなどによる趣味活動,旅行などへ発展・移行していく手助けとなることが,当通所リハのあり方の一つではないかと思われた。
  • 松本 健史, 入江 真美, 吉原 直貴, 栗原 文, 佐伯 美貴, 當利 賢一, 松永 隆宏, 百留 あかね, 大久保 智明, 野尻 晋一
    p. 6
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     リハビリテーションの領域が拡大し、実践の場が地域・在宅へと広がりをみせ、セラピストが対応すべきリスクも多岐にわたってきた。 当訪問リハビリテーションセンターにおけるリスクマネジメントの取り組みを紹介する。平成5年の開設時より想定されるリスクに対してマニュアルの整備をおこなうとともに独自のリスクマネジメントの検討も開始した。平成13年より2年間、ヒヤリハット報告書によるデータ蓄積・分析をおこない、平成15年3月よりカレンダー式ヒヤリハット報告書を作成し、スタッフ全員で記録を行い、月毎に訪問スタッフから1名選出したリスクマネージャーがリスクの集計、分析をすることとした。 現方式を継続することにより、想定されるリスクをスタッフ間で共有でき、また新たなリスクの把握、分析が行え、今後も継続的にリスク管理に活用していけるものと考える。 今回、スタッフのヒヤリハット報告書を分析することで訪問の現場でセラピストが対応しなければならないリスクが日常に潜んでおり、多種多様であることが認識できた。 今後この方式による当センターのリスクマネジメントがうまく機能しているかを継続的に評価していく必要がある。
  • 山道 和美, 河島 英夫, 三山 奈穂子, 新谷 大輔, 吉田 絵美, 井元 香, 内田 奈々, 石原 靖之, 河波 恭弘, 山田 浩二, ...
    p. 7
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    Stroke unitに併設した病棟訓練室設置による麻痺改善や、ADL向上などの影響について、検討を行った。対象は、当院入院の初回発症被殻・視床出血患者で設置前群77例、設置後群148例とし、発症からPT開始までの日数、Brunnstrom Recovery Stage(BRS)、Barthel Indexを使用したADL自立度、在院日数、転院時移動能力などの項目について後方視的に調査、分析した。その結果、在院日数に有意差は無いものの、PT開始までの日数が設置前6.0±4.7日から設置後3.9±2.7日と有意に短縮され、PT実施期間は設置前12.7±7.7日から設置後17.3±11.8日と有意に増加が認められた。尚、BRS、ADL自立度、転院時移動能力に関して有意差は認められなかった。このことより、病棟訓練室設置に伴い医師、看護師、理学療法士などスタッフ間の情報共有と、連携が強化された結果、PTの早期開始が実現したものと考える。しかし、ADL動作などに影響なかったことを考えると、今後は急性期から生活場面に即したPTを行うことで更に実用的なADLの獲得に向けて、有効に病棟訓練室を活用し、QOLの向上を目指す必要がある。
  • 平尾 章子
    p. 8
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当院は、脳卒中発症当日または翌日よりリハを開始しており、積極的な早期離床を図っている。さらにリスク管理として、諸家によるリハ実施基準・中止基準を参考に行っていたが、スタッフによって基準は異なっていた。今回、脳梗塞発症後の坐位での血圧変動について調べ、当院における脳卒中リハ実施基準・中止基準を作成した。対象は、当院入院した脳梗塞患者のうち測定可能であった20例(男性9例、女性11例)である。対象を坐位訓練開始前・坐位訓練中・訓練後にかけて測定した。また坐位訓練開始日に坐位が自立レベルであった群と坐位が要介助レベルであった群に分け、2群における収縮期血圧の変化を経時的に表し、坐位訓練開始時の安静時血圧を基準として20mmHg以上の低下、30mmHg以上の上昇した例を血圧変動ありとして抽出した。また、2群間において、意識障害、血圧変動について分け、坐位能力との関連性について調べた。結果として、坐位が介助であった群は血圧変動がみられた例があった。また坐位が介助レベルであった群に意識障害がみられた例があった。今回の結果を参考に当院におけるリハ実施基準・中止基準を設けた。今後もより一層リスク管理への意識を持ってリハに取り組むことで、早期に起立や歩行に結び付けていきたい。
  • 松川 英一, 松川 美鈴, 澤紙 義之, 川平 稔
    p. 9
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     神経難病は、徐々に進行する運動機能障害によって日常生活動作が制限される特徴をもっている。対症療法に終始する疾患がほとんどの中で、病気の進行を少しでも遅らせ、残存機能を有効活用することで日常生活を充実させる事は生活の質の面からも重要である。病院や施設よりも住み慣れた家庭で生活したいと考えるのは、難病患者にとっても例外ではない。しかし、通常の在宅ケアとは違った内容が多く家庭での対応が困難なことは少なくない。 難病患者を在宅で支援することを最大の目的とし、難病患者リハビリテーションを立ち上げて約3年になる。今回は当クリニックで行っている難病リハビリの紹介と、その効果及び今後の課題などについて報告する。
  • 岩佐 親宏 , 山口 仁美, 児玉 陽子, 原野 裕司, 池田 香苗, 梅津 祐一
    p. 10
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     臨床上車いす駆動時に健側上肢でハンドリムを過剰に動かして、健側下肢の使用がみられなかったり、健側下肢の使用を促しても、指示通りにできないことが問題となることが多い。この現象を示す一症例の検討を行った。症例は、76歳、右利き、女性。左片麻痺を呈し、痴呆はみられないが重度の半側空間無視、MIなどがみられた。ADLでは、種々の動作にて介助を要する状態であった。車いす駆動では、健側上肢を過度に使用し下肢の使用は殆どみられなかった。vigilance課題の結果は、同時動作での健側下肢のタッピングが途中で止まったりする傾向にあった。車いす駆動に関して、リハとしては健側下肢使用を促す取り組みを行った。車いす駆動は病室まで監視から部分介助により帰棟できるようになった。vigilance課題では、開始時と比較し、同時動作での健側下肢のタッピング回数が増加し改善傾向を示した。本症例にみられた現象の要因としては、開始時からのMIの変化は少ないため、健側上下肢でのvigilance performanceの乖離の影響が大きいと考えられた。今回は一症例での検討であるが、今後、症例を重ねて検討を行っていきたいと考える。
  • 橋詰 真弓, 古川 裕, 川元 麻美, 中島 千穂, 村 麻衣子, 平野 友久
    p. 11
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     今回、摂食・嚥下障害を呈した2症例が、回復期リハビリテーション病棟において経管栄養摂取から経口摂取可能となった。症例1は咽頭期から食道期、症例2では先行期から口腔期と異なった時期に問題が見られた。専属配置であるOTがVFに参加することで、機能レベルでの問題点を病棟でのアプローチにつなげた。食事時の姿勢については、統一を図るため写真を活用した。また、直接訓練の要素を、生活レベルでNsや.CW、患者自身に指導・問題点の指摘・フィードバックを繰り返し、定着させた。これらを通してNsや.CWの認識を『食事介助』から『摂食・嚥下訓練』へ変化させることができた。このように、機能レベルの把握を十分に行ったOTがリハビリ室にとどまらず生活レベルで症例に関わり、チームリーダー的役割を果たしたことは、今回の成果に重要であったと考えられる。今回の症例を通して、チームアプローチの実際と成果を経験し、OTが早期から生活レベルで病棟と関わることの重要性を再認識することができた。
  • 猫島 貴彰
    p. 12
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    眼瞼下垂、複視、注視障害、目の奥に不快感、注視時眼振、体動時眼振、めまい、嘔気、などを呈した4症例(脳出血3例、脳梗塞1例)に対し、眼球周囲に徒手を用いた触覚刺激を加えた結果、眼球運動障害と前庭機能障害が減少した症例と、変化が少ない症例を経験した。評価方法は、めまいの有無、複視の有無、本人の訴えを問診し、両眼に対し上下左右の注視と眼振の有無・方向を観察した。結果は橋・延髄・小脳に病巣がある症例では、眼球運動障害に改善が認められた。脳幹より高次に病巣がある症例は、改善が少なかった。脳幹部病巣では触覚情報不足が一つの要因であると考える。しかし、脳幹より高次に病巣がある症例では、他の要因も踏まえる必要があると考える。また、眼振の減少が認められたと同時に、めまいと嘔気が減少した。眼振の消失により視覚系、前庭系、深部感覚系間のバランスが改善されたためであると考える。眼球周囲への触覚刺激は、脳幹部を活性化し、視覚系・前庭系に何らかの影響を及ぼすのではないかと考える。
  • 長野 毅, 松崎 哲治
    p. 13
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     本研究の目的は、ステップ肢位での前方移動能力と歩行との関連性を分析することである。対象は屋外歩行自立の脳卒中片麻痺患者7名(平均年齢58.4±8.8歳)とした。計測は麻痺側前方(_I_動作)と非麻痺側前方(_II_動作)のステップ肢位での前方移動動作と5m間の自由歩行(_III_動作)とし、分析は_I_と_II_動作の比較、_I_と_III_動作・_II_と_III_動作の関連性について行った。_I_と_II_動作の比較として、7名中6名が_I_動作の麻痺側下肢よりも、_II_動作の非麻痺側下肢への体重移動が安定して行えていた。しかし、中には_II_動作よりも_I_動作時に大きく前方移動できる者がいた。これは、体重支持が可能な非麻痺側下肢であっても不適切な筋活動であると、十分に体重移動することができないと考えられた。ステップ肢位での前方移動能力と歩行との関連性は、_I_と_III_動作では前脚麻痺側下肢の股・膝関節、_II_と_III_動作では前脚非麻痺側下肢の股・膝関節は同じ関節モーメントが発生しており、その関連性が示唆された。今回の結果、ステップ肢位であっても、歩行であっても股・膝関節、体幹の位置関係を観察し、どの筋がどの程度活動しているのか把握して治療を進めることが重要と思われた。
  • 福留 涼子
    p. 14
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    右半側空間無視症例における着衣動作訓練の検討   医療法人恒心会 おぐら記念病院OT ◎福留 涼子・岩切 美和 MD  池上 正人            半側空間無視は着衣動作の獲得において阻害因子となる。今回我々は,左半球損傷による右半側空間無視を呈した症例を経験した。この症例に対し,キーワードを用いて着衣動作訓練にアプローチを試みた。その効果を検討するためにシングルケーススタディを用いて効果の比較を行なった。今回の結果から右半側空間無視を呈する患者の着衣動作におけるアプローチは自立には至らなかったものの有効であったと考えられた。本症例においては,左半球の頭頂葉だけでなく言語野にも病変が認められたが,失語症は見られなかった。したがって優位半球の機能が右半球に,そして劣位半球の機能である視空間能が左半球に存在しているものと推察される。今回,着衣動作の介助量軽減においては,右側へ意識化させるだけでなく,右半球の側性化により言語的刺激を発語することで,行動に枠組みを与えたことが効果的であったと考えられる。
  • 一症例における治療効果を通して
    松崎 哲治, 松崎 裕子
    p. 15
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】私達PTは、歩行を阻害している因子を症例ごとに細かく分析し治療を行い、より効率的な歩行を学習させていく。しかし、我々の治療時間は制限があり、一日の残り時間の姿勢運動管理によっては治療効果の持続性に影響が及ぶ。今回、CVA患者の治療時間外の麻痺側荷重自主訓練が歩行にどのような影響を及ぼすかを紹介する。【症例紹介】59歳、女性。診断名は脳出血(視床出血)。MRI所見では右視床全般に出血層、脳室穿破が認められた。本研究時の状態は、歩行は一本杖・装具(プラスッチックAFO)使用にて室内自立。裸側歩行時においては、遊脚期麻痺側の分回し・下肢内転及び立脚期麻痺側の体幹骨盤後方回旋・股関節屈曲・反張膝が認められた。【研究手順およびエチュードボー訓練】まずPTが40分の治療を行った。その後20分間、日立機電工業の立位練習器エチュードボーを用い麻痺側下肢支持にて非麻痺側下肢振り出し動作を繰り返し行う訓練を行った。この過程を3日間繰り返し、エチュードボー訓練の前後に動作解析装置による歩行分析を行った。【結果】1日目・2日目・3日目の訓練前後と経て麻痺側立脚後期前方床反力最大値・麻痺側立脚後期鉛直床反力最大値・麻痺側踵離地時股関節屈曲モーメーントの値が増し正常に近づく改善方向へ変化していった。
  • 秋葉 浩樹
    p. 16
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当施設では、平成13年度より通所リハビリテーション(以下、通所リハと略)において、パワーリハビリテーション(以下、パワーリハと略)の取り組みをはじめた。全対象者のうち19名に対して、握力・開眼片足立ち・体前屈・Time Up & Go・二分間足踏みの5項目の体力測定をパワーリハ開始前と開始一ヵ月後の二回行った。結果は、握力・体前屈・Time Up & Goにおいてそれぞれ危険率5%、二分間足踏みにて危険率1%の有意な差を認めた。開眼片足立ちにおいては有意な差は認められなかった。また、体力測定対象者には含まれないが、日中の活動性が向上し行動変容を認める事例が見られた。今回、パワーリハという手法を用いて体力向上や行動変容というある一定の結果が得られ、従来の運動療法に加わる有効な手法の一つであることが示唆された。しかし、一方では基礎理論の構築・適応疾患の問題・マシーンプログラムの研究等、これからの課題も多く残されている。今後も、これらの課題を解決しつつ、高齢者の介護予防・自立支援の強化を図るためパワーリハの取り組みを続けていく必要があると考える。
  • 大嶋 雅美, 槙 妙子, 野村 誠教
    p. 17
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    近年、リハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)が病棟専任となる機会が増えてきた。そのような流れの中、当院では平成13年春から介護保険病棟に、理学療法士・作業療法士が一人ずつ常勤している。リハスタッフが病棟に常勤していることで、看護スタッフによるリハビリ室への送迎は必要なく、またプラットホーム上での訓練はほとんど行わない。担当当初、そんな状況であれば、患者のゴールは現状維持だろうと考えていたが、身体機能が向上した例がいくつも見られたことで、慢性期病棟内におけるリハスタッフの重要性を感じた。当病棟の特色は、リハと看護スタッフ間の介助法に大きな差がないということである。それは、常に病棟に居ることで、安易な車椅子の使用を無くし、全患者の残存機能を最大限に活かした、最小限の介助法を、その場で看護スタッフに伝達することが可能となるからである。徐々に日常生活動作の向上が見られたケースにおいては、患者のモチベーション向上に繋がり、結果、生活全般に対する自主性が見られ始めたと考えられる。
  • 野原 慎二, 阪本 留美, 園村 加奈子, 森下 一樹, 内賀嶋 英明, 絹脇 悦生, 筒井 宏益
    p. 18
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    回復期リハ病棟は自宅復帰促進を掲げている。しかし単なる自宅復帰のみで外出等の屋外活動が制限されればその活動範囲は限定され廃用症候群の予防は図られにくい。そこで今回、当院回復期リハ病棟より自宅復帰に至った患者を対象に屋外活動に影響を与える要因について検討した。介護者の要因としては、家族指導の不足による患者の屋外歩行能力等に関する認識不足とその事から生じる過介護。また周囲環境からもたらされる患者・家族の転倒に対する恐怖心・不安感等の心理的要因が屋外活動制限に影響を及ぼしている可能性も示唆された。屋外歩行訓練ではその訓練内容が重要であり、いかに実用的な歩行訓練プログラムを提供できるかによっても屋外活動が左右されると推察された。今後は過介護の予防と屋外活動への不安感に代表される心理的要因を軽減する目的においても家族教育の充実を図り、在宅の周囲環境を想定した実用的な屋外歩行訓練プログラムの強化が重要課題であり、この課題を克復し社会的活動範囲の拡大を促進していく事が廃用症候群の予防となり、患者のQOL向上へと繋がっていくものと期待する。
  • -回復期病棟での取り組みからの検討-
    手島 智康, 小山 潔, 星野 祐幸, 江上 留美, 内野 良彦, 神代 弘道
    p. 19
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    平成14年4月に回復期リハビリテーション病棟の施設基準を当院が所得し、一年が経過した。この間「対象者の生活障害の改善」を目的とし、疾患に区別無くADL支援を中心に対象者に作業療法(以下、OT)を実施し、その中の約1/4となる25名が大腿骨骨折を中心とした下肢障害(者)であった。今回、25名を対象としてカルテからBarthelindex(以下、BI)と痴呆の程度の変化を調査し、下肢障害者に対するOTの有効性について検討を行なった。結果、BI総数において、平均値が開始時55.6→終了時76.6へ向上し、移動・更衣・排泄・入浴の各項目においても、「自立」と判定された者が開始時と終了時を比較した場合、明らかなる増加傾向を示した。また痴呆の程度においてもHDS_-_Rの結果から、開始時平均7点→終了時平均11.7点と多少ながらも向上を認めた。結果、下肢障害者に対してもOT実施の効果と有効性が確認できた。
  • 濱田 桂太朗, 渡 裕一, 松下 兼一
    p. 20
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    今回、右半球損傷により左半側空間無視・注意障害を呈する患者に対して、病棟ADL自立を目標とし、反復的にADLを実施した。当初の状態は、BarthelIndex50点.FIMは86点で、食事での食べ残し、更衣は左袖がわからないなど、左半側空間無視・注意障害と動作手順のミスが目立った。また、外的刺激に惑わされやすい、自室がわからない、など病棟環境での問題も観察されれた。その後、ADLは入浴以外自立となり動作は獲得されたが、外泊時のADLは注意力・左側の無視が見られ、病棟で獲得されたはずの動作がうまく発揮できずに、家族の何らかの監視・介助を要してしまった。このような状態を踏まえ、スムーズに在宅復帰しADL自立となるには、注意障害に対して直接的に訓練を行い、在宅での状況判断能力や応用動作に対しての注意が必要でないかと考え、訓練を実施した。注意障害に対しては、パズル・計算課題を、左半側空間無視に対してはぺグボード・TMTなど視覚的探索能力を向上するよう考え実施した。また、訓練環境は課題に集中できるよう外的刺激の少ない個室から始め、遂行レベルに合わせて干渉刺激の多い訓練室へと移行するなどの、環境設定に考慮した高次脳機能訓練を併用し実施した。結果、在宅のADLは自立し在宅復帰となった。
  • 調理動作獲得に向けた理学療法の関わりを通して
    北野 留美子
    p. 21
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     当院は現在、回復期リハ病棟を3病棟180床有し、リハビリテーション総合実施計画書に基づき、他職種と協業を図りながら実用的なADLの早期獲得に向け、目標指向的にアプローチを行なっている。今回、調理動作獲得に向け、OTと協業して目標指向的にアプローチした結果、調理の一部が可能となり家庭での役割を獲得し自宅退院に至った症例を経験した。今回の症例を通し、回復期リハ病棟におけるPTは、歩行補助具や装具を使い分けながらADLや家事動作と歩行を一連の動作として捉え関わっていくことが重要であることを再認識した。また、「するADL」の獲得に向けては、積極的にOT等と協業してそれぞれの専門性を生かしチームでアプローチしていくことが重要であり、効果的であると感じた。家事動作は多種多様で症例ごとに生活背景が違う為、早期より病前の生活状況を把握し実用的な動作や移動手段の獲得に向け、治療用装具と生活用装具の両面から装具を検討しアプローチする必要性も感じた。今後もリハチームとして協業の中で実用的ADLやIADLへ積極的に取り組み関わって行きたい。
  • 片麻痺者の足部おおい型の短下肢装具の装着
    三石 京子
    p. 22
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    脳血管障害後左片麻痺患者2例に対して、足部おおい型の両側支柱付短下肢装具の装着自立を目標にアプローチした。装具装着の工程は非常に煩雑であり、自立に至るまでにさまざまな装着方法を試みた。2例については、ベッド端座位での装具の装着パターンは下腿カフ部分から装着すると比較的スムーズに装着することができた。工程の中で足部おおいを踏みつけて下敷きになったべろを定位置に戻す動作が困難なことが多く、足部おおいを予め開いておくための工夫を試みた。動作技術のみならず、装具着脱する際に必要な能力の獲得も行っていくようアプローチしていく必要があった。装具着脱の動作獲得を進めるためには、本人とともに難しい動作に対する問題点を確認していき、意識的な反復訓練を進めていくことで作業意欲の持続も図れた。個々の症例にあわせた姿勢・場所・手順や方法の検討をひとつひとつ試行しながら実施していくことが重要であることがわかった
  • 佐藤 孝臣
    p. 23
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    回復期リハビリテーション病棟において当院では、病棟リハビリを主体としたリハビリテーションを行っている。病棟(生活の場)の中でセラピストと看護師との関わり方で、どの様なアプローチが効果的か試行錯誤してきた。その中で、しているADLとできるADLをひとつの評価表として作製しセラピスト、看護師との協業でのアプローチを実施した。できる、しているADL評価表を用いることで症例に、誰が、どんな場所で、どの位の介助量で、どのような道具を用いて関われば良いか回復期リハビリ病棟のスタッフが把握できるようになった。また「できるADL」「しているADL」の差が明確になり双方が2つのADL訓練として確立し、全体として症例の活動量を向上することが可能となった。特に今回の紹介症例においては、入院時「しているADL」と「できるADL」の差としてあった病棟の歩行、整容が3週間で「しているADL」として確立された為、更衣、排泄動作などにセラピストが「できるADL」訓練として関わる事が可能となりADL向上につながったのではないかと思われる。
  • 中島 大輔
    p. 24
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     当センターリハビリテーション課では、外来リハビリテーション業務と電話・来所・訪問による障害者生活支援相談業務を行っている。当センターによせられる相談の中で、意思伝達装置の給付はされているものの実際に使用するまでに至らず、意思伝達装置が有効に活用されていない例が散見される。その原因として、ALS当事者に対して意思伝達装置の操作方法を指導の為のシステムが整っていない状況がある。その様な相談に対して、当事者に対する意思伝達装置の使用援助と、使用援助のできるボランティアの確保を行い、対応している。 当症例を通じて、コミュニケーション支援に関わる事の重要性を感じた共に、意思伝達装置の内容や入力スイッチの検討などPTとしての専門性を活かせる部分があったと考える。また、意思伝達装置の開発や給付制度などハード面の整備は整ってきているが、使用援助のできる人材の確保などソフト面の支援体制は整備されていない。今後のソフト面の支援体制構築に期待をすると共に、その支援の中で、我々も本人に適した意思伝達装置や入力スイッチの選択についての支援など協力できる部分があると考える。
  • 嶋田 香織
    p. 25
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    今回、当院入院中の介護保険利用者60名を対象とし、リハビリテーション医学において機能害や、日常生活における障害を客観的に評価することは今後のアプローチの明確化、予後予測、治療効果の判定において重要であり、利用者の「しているADL」と介護度が一致しているかを調査するため、介護度とADL自立度の関連性について検討した。スピアマンの順位相関係数検定の結果、介護度とFIMの総得点において有意に相関がみられた。項目別ではセルフケア、移乗動作、移動動作に高い 相関がみられた。特に、セルフケア項目の食事動作が最も介護度に反映されている結果となった。認知機能低下、痴呆症状を伴った場合でも運動項目については手続き記憶として残存しているため比較的、運動項目において相関がみられたのではないかと考える。認知項目は介護度に反映されにくい傾向にあることが現状である。また今後は医療と福祉に共通で介護者の主観的な介護負担という観点も加え、反映されていない項目も考慮した、信頼性や妥当性に富み簡便で汎用性を持つADL評価表が必要であるのではないかと考える。   
  • 大平 高正, 多田 誠一, 山野 薫, 泉 賢太, 山田 卓史
    p. 26
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     心臓血管外科周術期の理学療法は、術前の呼吸指導に始まり、術後はICU内にて、抜管直後より排痰を含め換気能の改善を図り、ADLの早期拡大を目的に行っている。そこで、その効果を検証するために、2002年11月から3月までの期間をPT施行群、心臓外科周術期の理学療法を開始する以前の2002年5月から9月までの期間をコントロール群として、1)年齢、2)性別、3)疾患名、4)術式、5)手術から人工呼吸器離脱(以下、抜管)までの日数、6)抜管から歩行開始までの日数、7)抜管から退院までの日数、8)自宅復帰の可否を比較した。結果は、「手術から抜管までの日数」「抜管から歩行開始までの日数」においては、両群間に差はみられなかったが、「抜管から退院までの日数」においてPT施行群の方がコントロール群に比べ有意に短期間であった。これは、術後早期より離床を進め、運動療法を施行することによって、術後肺合併症が予防され、早期にADLが拡大しためと推察された。心臓外科周術期の理学療法は、ADLの早期拡大だけでなく、在院日数を短縮することが分かった。
  • 小林 智子, 落合 裕之, 野田 喜寛, 勝見 良子, 田中 和重, 石丸 智之, 嶋田 一郎
    p. 27
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    急性心筋梗塞(AMI)の機械的合併症には、心室中隔穿孔、僧帽弁乳頭筋断裂、心破裂などがあり、いずれも救命率が低いとされている。仮に、救命できたとしても他の合併症を併発することが多く生命予後は不良である。理学療法の適応となる症例も少なく、具体的な報告は少ない。
    今回、AMI後に心破裂を2度合併した症例を経験した。再破裂の危険も極めて高く、術直後より血圧・不整脈のコントロールを徹底して実施した。そして、再々破裂を起こすことなく経過し、理学療法開始に至った。1ヶ月にわたる臥床により著しい四肢の廃用性筋力低下を生じていたものの、血圧を上昇させずに筋力増強を行う必要があったため、等尺性の運動は実施せず等張性の運動を主体として行い、血圧を上昇させやすい上肢の運動を避け下肢の運動を重点的に行った。これにより血圧の大きな変動なく下肢筋力や運動耐用能が向上し最終的に日中車椅子上坐位をとれるようになるまで改善した。
    以上より、心破裂後の症例においても血圧や不整脈の管理を徹底し理学療法を行うことによりADL能力の向上が十分期待できる。
  • 森下  一樹
    p. 28
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    慢性呼吸不全(以下CRF)患者における急性増悪後の運動機能と栄養状態の関連性を調査した。対象は平成14年4月から平成15年3月までの1年間でCRF急性増悪後に理学療法処方が出た11例とした。運動機能の項目には6MDを用い、千住らのADLスコアをADLの項目として用いた。また生化学データより総蛋白とアルブミンを、身体組成より%IBWとBMIを計算し栄養状態の項目として用いた。運動機能と6MDは退院時に有意に改善し(P<.001)、BMIと%IBWも増加傾向にあった(P<0.10)。退院時の6MDとADLスコアにおいて総蛋白の改善率と有意な相関がみられた(P<.001)。今回の結果より、CRF急性増悪後における理学療法は筋肉量を増加させ運動機能およびADLを改善することができると考えられる。またCRF患者における低栄養の原因となる基礎代謝亢進は安静時および運動時における効率の悪い呼吸パターンや呼吸筋の効率低下などによりもたらされることが予測される。そのためPTによる摂取熱量に見合った運動量の設定とリラクゼーション指導、呼吸訓練、ADL指導などをふまえた患者教育が有効になると考えられる。
  • 園村 加奈子, 阪本 留美, 森下 一樹, 野原 慎二, 那須 久史, 内賀嶋 英明, 絹脇 悦生, 筒井 宏益
    p. 29
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    慢性呼吸不全患者(以下CRF患者)は換気制限のため労作時呼吸困難感を訴え活動を制限されることが多く、特に女性において関わることの多い家事動作中に呼吸困難感を生じ、中断や制限されることが多い。そこで今回調理・洗濯・清掃・買物・布団の上げ下げの家事動作で拡張テープの使用前後を比較した。その結果、洗濯・清掃・布団の上げ下げが最も呼吸困難感が強く、Spo2低下・血圧、心拍数上昇・Borg scale高い値が検出された。また、鼻腔拡張テープを使用することで、洗濯・布団の上げ下げにおいてSpo2の値が有意な改善を示した。今回の拡張テープを使用することで、末梢の呼吸の取り込みやすさを感じ、日常生活の中で僅かではあるが労作時呼吸困難感が改善され、ADL能力が向上されたことは、我々呼吸リハビリに関わる者としては、取り入れていく価値はあるのではないかと考える。
  • 廣瀬 和陽
    p. 30
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    <はじめに>当院では、初期糖尿病患者に対してクリニカルパス(以下DMパスと略す)を導入している。理学療法室の役割として、集団・個別指導を実施しているが、入院中のみの指導に留まり退院後のフォローアップは行なえていない。そこで今回、DMパスにおける理学療法室の今後の関わり方を検討したのでここに報告する。
    <対象>DMパス対象者でリハ処方が出された58名。
    <方法> 方法1として、対象者全体の退院後経過を見る目的で各経過のHbA1cと入院時のHbA1cを比較する。方法2として、個人のコントロール状況を把握する目的で、3ヶ月経過を追えた_I_群・6ヶ月経過を追えた_II_群・1年経過を追えた_III_群の各最終HbA1cを前回と比較する。
    <結果>入院時と比較すると、退院後96%の割合でHbA1cは低下したが、しばらくすると徐々にHbA1cは上昇している。
    <考察>教育入院により入院前の生活を改善したことが伺えるが、退院後4_から_5ヶ月頃から血糖コントロール不良となっていることから、徐々に入院前の生活に戻りつつあることが伺える。このことから今後の理学療法室の関わり方として、1)糖尿病センターにおいて、ポケベル呼び出し体制の確立2)定期的フォローの検討3)現在製作段階にある理学療法室独自の運動療法ビデオの利用を行なっていきたいと考える
  • 財津 菜穂子
    p. 31
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     本研究の目的はShuttle Waking Test(SWT)での酸素摂取量(VO2)推定式の妥当性を検討することにある。当該推定式が日本人COPD患者にも応用可能であるかを知るために、基礎研究として健常者19名を対象にSWTでのVO2推定値と健常者のSWT、トレッドミルでのVO2実測値を比較検討した。 SWTでのVO2推定値、SWT、トレッドミルでのVO2実測値の相関分析の結果、それぞれの偏相関係数は、O.9以上と極めて高い有意な相関を認めた。このことからShinghらのVO2推定式が健常者のSWTにおけるVO2の変化様式を鋭敏に反映していることが示された。しかし、各レベルにおけるVO2は推定値と実測値に差があり、特に推定値とトレッドミル実測値との差が大きかった。この背景には対象がCOPD患者と健常者で異なること、トレッドミルの場合、床歩行とは異なる生理学的反応があることが考えられる。 今回の成績は健常者を対象としたものであるが、本邦COPD患者を対象にSWTでのVO2推定式の妥当性を検討することが今後の課題である。
  • 三川 浩太郎, 北川 知佳, 田中 貴子, 中ノ瀬 八重, 田所 杏平, 石野 友子, 田中 健一朗, 住本 恭子, 千住 秀明
    p. 32
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     研究の目的は、10m Shuttle Walking Test(以下10mSWT)のCDを用いて10mコースと15mコースで運動負荷試験を実施し、15m Shuttle Walk & Run Test(以下15mSWRT)が全身持久力を評価する新しい運動負荷試験として利用できるかを検討することである。
     対象は、健常成人51名である。方法は、対象を10mSWT群と15mSWRT群の2群に分けてそれぞれ実施し、各レベルの平均酸素摂取量を測定した。
     結果、15mSWRTにおける各レベルの平均酸素摂取量とレベル(距離)の相関係数は0.95と、強い正の相関があることが認められ、酸素摂取量=0.03×移動距離+6.41という予測式が導き出された。また、レベル12の平均酸素摂取量は15mSWRT 51.18±8.28、10mSWT 34.51±2.98であった。
     以上より、15mSWRTは、平均酸素摂取量との相関が非常に高く、10mSWTより短時間に負荷量が増加し、最大運動強度も大きいことが示唆された。ゆえに、対象を健常中高年層の全身持久力を評価する運動負荷試験として用いることが可能であると考えられた。
  • 岩永 健児, 木村 亮子, 飯盛 宏一
    p. 33
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    ACL断裂における術後プログラムの再考      ◎岩永健児(PT) 木村亮子(PT) 飯盛宏一(PT) 愛野記念病院リハビリテーション部現在、整形外科領域において、あらゆる術式に対するリハビリプログラムが報告されている。しかし、我々は本当にプログラムを理解した上で実践しているのであろうか?という疑問を持った。そこで自らプログラムを作成していくことにより内容を理解していけたらと思い、今回ACLの術後を例にあげ、文献より再建靭帯の強度・成熟過程・骨孔・筋力・関節角度等のデータを得、プログラムの作成を行った。このように、何を基準にしてプログラムを作成しているのかを考えることにより、膝関節内の状態を想定し、患者に応じた治療を行うことが可能と思われる。また同様に他の疾患についても行うことにより、より良い治療効果が得られるのではと考える。
  • 蓮男 幸太, 平川 善之, 北川 智子, 元尾 篤
    p. 34
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    現在、ACL損傷・術後評価として利用されている脛骨前方移動量の測定方法は、KT-2000 knee arthrometer を用いた臥位で行われることが一般化されている。しかし、損傷場面を考慮するとより近似した状況での測定の必要性を感じる。そこで、本研究は健常男性5名10関節を対象に従来通りの臥位での測定に加え、立位での測定〔ティルトテーブル60°・片脚立位にて80%BW〕を新しく試み、その有用性とその他の評価項目〔Cybex等速性60°/sec・等尺性30°、Laxity-test〕との関連を探った。その結果、10関節共に立位での脛骨前方移動量が低値を示した。また、Laxity-testが低値を示すもの・Cybex等尺性でのH/Q比が高値を示すものほど立位移動率〔立位脛骨前方移動量÷臥位脛骨前方移動量×100〕が低値であった。Cybex等速性では特に傾向は見られなかった。今回の測定方法は、関節構成体の弛緩性と共に膝周囲筋の筋収縮による関節制御性を同時に計測している、つまり関節の安定性に関わる受動作用と能動作用を包括していると考えられ、臨床場面での有用性が示唆された。
  • _-_内転筋群の機能的特性を探る_-_
    平川 善之, 石田 奈穂子, 山崎 登志也, 蓮尾 幸太, 北川 智子, 牛島 幸治
    p. 35
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    変形性膝関節症(膝OA)に関し、橋村らは大腿骨幹部の外彎から発症し、内反変形へと進行するとしている。これには内転筋と外転筋の筋力バランスが関与していると思われる。今回内転筋群の機能的特長を明らかにする目的で研究を行った。 対象は健常男性10名20関節。CYBEX NORM system を用い股関節内・外転筋力を大腿遠位と近位の2つの抵抗位置で測定した。1)内・外転筋力値の左右差 2)遠位抵抗と近位抵抗の差 3)遠近比(遠位抵抗値÷近位)の3つに関して統計的分析を行った。 大腿遠位・近位抵抗で得られた各最大筋力を、体重で除した筋力値では、遠位の値が大きかったが、さらにその値をレバーアームの長さで除した単位筋力値では、逆に近位が大きな結果となった。内外転ともに関節の近位部に抵抗を加えることで、関節軸に近い筋群の活動性が向上し、動的な安定性が強化され、より強い筋力が発揮され易くなったためと思われる。3)において内転の数値が大きく、外転ほど遠位と近位で差がなかった理由としては、内転筋と外転筋の解剖学的な違いが考えられた。今後研究を重ね、内転筋群と膝OAの発症と進行との関係を明確にするとともに、適切な訓練システムの構築が必要であると思われた。
  • 福田 健
    p. 36
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    腰痛症の患者の中には病院以外の治療機関を利用する者も多く、その治療歴、病態・治療内容についての理解も様々である。また腰痛体操などの指導を行っても継続出来ないなど患者の協力が得られないことも多く、理学療法士が提供する治療内容と患者の理学療法に対する期待が一致しているかどうか疑問に残る。今回、理学療法に対する意識調査を行った結果、腰痛治療について十分な説明を受けていると答えた患者が多かったが、一方で体操が効果的と答えた患者はなく、現状では患者教育が不十分であり、理学療法士から直接治療を受けることを望む傾向がみられた。患者側は治療を受動的で慰安的なもの捉えていると考えられ、治療内容の説明が十分に理解されておらず、治療に対する意識の差が生じたと思われる。今回の調査から、患者の協力が得られ、効果のある理学療法を行うために、患者の主観的な変化だけでなく客観的データを示しインフォームドコンセントを行っていく必要がある。
  • 東 幸児
    p. 37
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    脊髄梗塞を呈した8歳の男児に対して、友達間での孤立・学業の遅れをとらないように早期学校復帰を目標に積極的に理学療法を行ってきた。その中で足部のアライメント・体幹機能に着目してアプローチを行った結果、立位・歩行姿勢の安定性、歩行スピードの向上を図ることができた。また早期より両親との話し合いをもつことにより、早期学校復帰を行うことができた。
  • 須尭 敦史, 中村 濃, 出田  良輔
    p. 38
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、頚髄損傷者の麻痺高位・上肢筋力を受傷直後から追跡し、受傷後180日にかけての経時的な変化を詳細に把握することである。受傷直後に当センターに入院し、経過観察できた30名の頚髄損傷患者を対象に、入院時・受傷後45日・90日・135日・180日の麻痺高位・ASIA運動スコアから各受傷期間での回復を比較した。対象30名中麻痺高位に回復が見られたのは20名(67%)であり、麻痺高位・ASIA運動スコアは共に受傷後45日以内において、最も回復が見られた。また麻痺高位が骨傷からの予測より高い症例は多くに回復が見られた。今回の結果から、運動機能の回復は受傷早期に特に期待でき、骨傷から予測される麻痺高位と実際の麻痺高位の違いが、回復の一つの指標になることが分かる。我々は受傷直後から麻痺の回復を想定した上でgoal設定を行い、リハビリテーションを進めて行くべきである。
  • 肝付 慎一, 山下 導人, 岸本 浩
    p. 40
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    慢性関節リウマチに対する人工関節置換術は下肢(股・膝)に比べ上肢(肩・肘)へのアプローチは積極的であるとは言えず、とくに肘関節においてはこれまで滑膜切除、関節形成術が主であった。しかし近年安定した人工肘関節置換術の成績が報告されている。今回、術前・術後の変化と短期予後の調査を目的とし、Kudo elbow type_V_を使用した症例9例9肘を対象に、関節可動域(屈曲、伸展、回内、回外)、日本整形外科学会肘機能評価法、疼痛の程度(横浜市大)について測定及び比較した。その結果、肘伸展角以外は全て有意に改善していた。特に疼痛、肘屈曲角度、ADL改善に良好であった。ADLに必要といわれている肘可動域である伸展‐30°、屈曲120°、回内・回外50°をほぼ満たす結果であった。しかし、1例のmutilans型は肩、手関節の破壊、変形が高度であったため術後の満足度は良好とはいえなかった。人工肘関節置換術の合併症として脱臼、感染、尺骨神経麻痺、異所性骨化による再強直があり、現在までにこのような合併は生じていないが、今後、loosening等に留意しながら長期経過観察をする必要があると考えられた。
  • 野中 信宏
    p. 41
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     今回、我々は特発性伸筋腱脱臼例に対してのMichon法術後のセラピィを経験した。Michon法は、脱臼した原因である骨間筋腱帽の断裂部を縫合するだけでなく、さらに伸筋腱の一部を用いて縫合するもので縫合力は強いとされている。しかし、我々は縫合力の強さを得ることができる反面、正常な伸筋腱の一部を採取する(損傷を与える)ことで、同部での指伸展機構と周囲組織との癒着はより高度に発生するものと予想し、より安全な方法で、より早期に運動を開始することが望ましいと考えた。そこで、セラピストが徒手的に脱臼側から反対側へ伸筋腱を支持することで再脱臼を防止し、段階的な早期自動運動を行った。その結果、術後3週経過時には、ほぼ全可動域を獲得できた。また簡易型のスプリントを作製し、早期に患手使用、早期退院が可能であった。
  • _-_アンケート調査による検討_-_
    楢原 貴雄, 白土 瑞穂, 奥屋 暢人, 末松 直子
    p. 42
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    作業の実態および腰痛と作業要因や環境要因の関連を調査することを目的として、当院看護職108名を対象にアンケート調査を実施した。腰痛の悪化している人ほど腰部保護ベルトまたはコルセットの使用頻度や介護リフトの使用頻度や前屈姿勢を取る頻度が多く、不良姿勢を避ける取り組みや仕事の自動化・省力化の取り組みも行い、腰部捻転の頻度や重症患者の介助者人数は少なく、作業スペースの確保を考慮し、設備の高さや配置の考慮は行われていないと考えていた。今回の調査結果より、腰部保護ベルトまたはコルセットの使用、介護リフトの使用、不良姿勢を避ける取り組み、仕事の自動化・省力化の取り組み、腰部捻転、作業スペースの考慮において腰痛が軽度あるいは無い段階で予防対策を講じる必要性や前屈姿勢を取る頻度、重症患者の介助人数などの腰痛を悪化させる作業要因や設備の高さや配置などの環境要因を改善する必要性が示唆された。
  • 質の高い介護を目指して
    岡 大樹
    p. 43
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
  • 業務の実施頻度と腰痛との関係
    木下 真里, 村田 伸, 吉岡 奏, 今泉 麻子, 田平 陽子
    p. 44
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    介護業務と腰痛に関する先行研究では、移乗介助との関連性を示した報告が多く、その他の介護業務との関連や実施頻度との関連性については明らかにされていない事が多い。そこで本研究の目的は、一般病院に勤務する看護及び介護職員193名(男性33名、女性160名、平均34.3歳±12.8)を対象に、様々な介護業務の実施頻度と腰痛との関連性を検証することである。対象者の腰痛有訴状況は、腰痛有りが116名(60.1%)であり、腰痛の有無別の対象者の基本属性に有意差は認められなかった。予備調査によって得られた腰部に負担がかかりやすい15項目の介護業務で、実施頻度が高かったのは、「オムツ交換」「体位変換」「移乗の介助」であった。腰痛の有無別の実施頻度の比較では、実施頻度で上位に位置づけられた項目には有意差が認められ、下位にランクされた項目にも有意差を示す傾向が認められた。いずれも腰痛有り群が無し群より、介護業務を頻繁に行っていた。これらのことから、本研究における対象者の腰痛は、介護業務全般と関連性が認められた。即ち、特定の介護業務だけが腰痛を発生させるのではなく、様々な介護業務を頻回に実施することにより、腰痛が引き起こされていると推察された。
  • 腰痛予防動作に関する知識と実際の比較
    今泉 麻子, 村田 伸, 吉岡 奏, 木下 真里, 田平 陽子
    p. 45
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    本研究の目的は、看護及び介護職員112名を対象に、腰痛予防動作に関する知識と実施率を比較し、腰痛との関連性を検討することである。調査票の回収率は88.4%であり、99名を分析対象とした。対象者の腰痛有訴状況は、腰痛有りが62名(62.6%)で、腰痛無しが37名(37.3%)であった。腰痛予防動作に関する知識の正解率は、「坂道での車椅子駆動の介助」を除き、90%を超える高い正解率であった。実施率は20_から_90%と差がみられ、正解率と実施率に、8項目中6項目に有意差(χ2検定p<0.01)が認められた。今回の結果では、腰痛予防動作の知識(正解率)と腰痛予防動作の実際(実施率)に明らかな差が認められ、腰部への負担がかからない動作はわかっているものの、実際にはその動作を行っていないことが明らかとなった。松元らは、介護職員の慢性腰痛は、作業中の動作・姿勢に最大の原因があると述べている。誤った動作での介助は介護者の腰痛を引き起こすだけでなく、介護の質の低下を招きかねない。介護者自身の腰痛に対する自己管理は重要であり、介護者の動作姿勢の改善は、腰痛の軽減・予防につながる一要因であると考える。
  • 体幹機能とバランス能力に着目して
    櫻井 ゆかり, 木下 健一郎, 村上 章子, 岡田 朋子, 米倉 裕樹
    p. 46
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
     高齢者における転倒は年間に10_から_40%程度と報告されている。また歩行可能であった高齢者の19%が転倒による骨折後に歩行不能となっているとの報告もある。このようなことからも、重篤なADL能力低下を生じる危険性が高い転倒を未然に防ぐことが重要となる。
    加齢に伴い感覚系や運動要素(筋力・平衡性・協調性・持久力・柔軟性)の低下が生じ、中でもバランス能力の低下は大きいとされている。さらにバランス能力の指標となる重心動揺は加齢や転倒と相関があるとされている。また、動作や立位保持における姿勢筋である体幹筋の重要性が報告されている。そこで今回、転倒予防のためのトレーニングとして、体幹筋の促通に着目してセラピーマスター(Nordisk Terapi社製)を用いた体操(集団体操)を考案、実施し、体操実施前後の立位バランスの変化を足圧中心点(COP)軌跡長の比較により検証し、有効性を得たので報告する。
  • 筒井 宏益, 野原 慎二, 阪本 留美, 園村 加奈子, 森下 一樹, 内賀嶋 英明, 絹脇 悦生
    p. 47
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当院における転倒転落に対する調査、取り組みを報告する。1.転倒の要因および発生時間帯を書籍およびインターネット検索からのメタ分析を行った結果、関連項目としては筋力低下が最も関与。時間帯では6時から8時が転倒の危険率が高かった。2.降圧剤の体動における影響を検討した結果、投薬2時間後の血圧は有位に低下した。また体動変化において有意な変化は見られなかった。3.当院の転倒防止に対する試みとして(1)転倒アセスメントシートの作成(2)大転子部に衝撃吸収の素材をあてるオリジナルのパンツを作成(3)離床センサー、離床マット、車椅子においては離床ブザーの作成 等を行った。4.転倒、転落事故の報告から転倒場所は病室が最も多く、転倒関連動作としてはトイレ動作時が多く、転倒転落事故の総数では2002年が前年より若干減少した。今回の報告が、転倒、転落事故に対する実践的なスクマネジメントの一歩となれば幸いである。
  • _-_2年間関わって現状と課題_-_
    野村 誠教, 大島 雅美
    p. 48
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    介護型療養病棟にPT1名、OT0.5名が専任として入り約2年が経過しようとしている。開始当初は、問題が多かったが、カンファレンスを多くもち個別訓練や集団訓練の内容などを検討し病棟との連携をはかっていった。まだまだ課題は多いが、病棟と話し合い良いサービスが提供できるよう努力している。
  • 大重 匡, 森本 典夫, 堀切 豊, 田中 信行, 田中 里美
    p. 49
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    41℃前腕浴と43℃前腕浴の身体反応の違いについて検討した。対象は、健常若年女性5名である。方法は、41℃前腕浴と43℃前腕浴30分間おこない経過観察した。測定項目は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、酸素消費量、体の表在温度、深部体温、皮膚血流量である。結果、収縮期血圧はほとんど変化しなかった。拡張期血圧は43℃前腕浴で平均7mmHg有意に低下し(P<0.01)、41℃前腕浴との比較でも有意差を認めた(P<0.05)。脈拍は41℃前腕浴でと43℃前腕浴で有意に増加した(P<0.01)が、その増加は20拍/分程度までであった。Mets数は41℃前腕浴と43℃前腕浴で有意に増加したが(P<0.05,P<0.01)、共に1.4Metsを越えなかった。表在温度は足指が41℃前腕浴で約6℃有意に上昇し、43℃前腕浴でも約9℃有意に上昇した(P<0.05)。深部体温は41℃前腕浴で.4℃有意に上昇し、43℃前腕浴では.8℃有意に上昇した(P<0.05,P<0.01)。41℃前腕浴と43℃前腕浴との比較でも有意な差を認めた(P<0.01)。皮膚血流量は大腿部が43℃前腕浴で約3 ml/min/100g有意に増加した。なお、全被験者で温浴後に熱傷発症や気分不快感を訴える者はいなかった。
  • -脳血管障害者での検討-
    加治屋 智弘, 平名 章二, 長井 亜希子, 江口 敬太, 福留 史剛, 倉元 笑子, 上橋 秀崇, 坂本 将大, 東條 竜二, 川手 梓, ...
    p. 50
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    43℃前腕浴が脳血管障害患者4名の脳血流量(以下CBF)において、どのような変化を示すかStable Xenon CT/CBF法にて検討した。その結果、CBFでは前腕浴後、病巣側2.3%上昇し、非病巣側半球0.8%低下したが大きな変化は見られなかった。しかし皮質においては病巣半球皮質15.6%、非病巣半球皮質11.7%の上昇が見られた。その他の所見としては前腕浴後SBP DBPは低下し脈拍は上昇、動脈酸素飽和度はほとんど変化が見られなかった。皮膚温においては頸部・腹部が低下したが額・上腕・大腿・足背・足趾においては上昇傾向にあった。これは灰白質である大脳皮質は機能局在があり神経細胞体が多く存在すること、脳のエネルギー代謝に脳血流が必要であるとされることから、前腕浴により神経細胞体の賦活が促進される可能性を示唆しているものと考えられる。
    以上のことより、前腕浴は運動療法と同様に脳代謝賦活に有利に働くものと思われ、灰白質でのCBF増加とCBFと運動機能・能力が正の相関を示した以前の我々の報告をふまえると併用して行うことでより効果的であると考えられた。
  • 田中 剛, 今石 綾子, 藤吉 大輔, 森下 正子, 森山 茜, 福田 ひろか, MD 江本 玄
    p. 51
    発行日: 2003年
    公開日: 2004/01/08
    会議録・要旨集 フリー
    当院において、平成14年度に前十字靭帯(以下ACL)損傷と診断され、自家膝蓋腱(Bone-Tendon-Bone:以下BTB)にて再建術を施行した患者にクリティカルパス(以下CP)を導入し、訓練を行ってきたので、その紹介と結果等について報告する。対象は平成14年4月から平成15年3月までに当院にてACL再建を施行した18症例18膝。内訳は男性9名、女性9名、平均年齢26.1歳(15歳_から_49歳)である。術後1日目よりCPM(-20°_から_90°)、筋力トレーニング、膝固定装具装着にて、全荷重でのつま先歩行を開始。術後8日目よりCPMの角度を-10°_から_120°までに変更し、CPMは術後3週まで使用し、それ以降は徒手にて関節可動域(以下ROM)訓練を実施。完全伸展は術後4週、完全屈曲は術後12週を目指している。術後8日にて、Donjoy装具を使用し、、歩行訓練としてトレッドミルを使用。筋力トレーニングとして、ハーフスクワット、水中運動療法を追加。退院は術後4週を目安にし、退院後は外来通院にてフォロー。平均在院日数は22.5日となった。CP用紙としては、ナース用、患者用、リハカードを作成。今後は、定期的な評価と、より効果的で且つ患者に満足してもらえる治療の提供を行う。
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