抄録
【はじめに】
平成15年8月、当院に膝関節・スポーツセンターが発足して以来、院外活動としてメディカルチェック(以下チェック)を実施している。平成16年の活動状況としては、当院近隣の小・中・高校において、計8回行った。今回、チェック後のアンケート調査の結果を踏まえ、今後の当院における地域スポーツ活動への関わりについて検討したので、ここに報告する。
【目的】
症状の早期発見、成長期における栄養管理、障害の発生機序・予防法を選手および保護者・指導者へ正しく理解させる。
【方法】
運動場や学校の会議室等を利用して、8項目のチェック内容を確認。スタッフは、医師、健康運動指導士、理学療法士、管理栄養士が協力して検査および記載を行う。効率良く実施するために選手を幾つかのグループに分けておき、項目内容としては上下肢および体幹の柔軟性、アライメント、関節可動域、筋力を確認する。チェック終了後、選手にはストレッチやCuff-exの指導を行い、保護者・指導者には成長期のスポーツ障害や栄養学についての指導を行う。学習会の最後に選手に対しては、ストレッチなどの重要性を確認する小テスト方式のアンケート用紙を渡し、保護者・指導者に対しては指導内容についての感想をアンケートに書いてもらい後日、回収。
【結果および考察】
院外活動を実施し、選手に故障を起こさせない為に、選手だけでなく保護者・指導者にも学習会をおこなってきた。アンケートの結果より、選手においては理解したが、実践していない子が多いことがわかった。また、保護者・指導者においては専門的なことより、日頃から取り入れていけることを学びたいとの声が多かった。また、成長期の選手が多く、栄養面での質問も多かった。一方で、2回、3回と継続して学習会を開催してもらうと更に理解できると思うとの声もあった。今後は、選手への指導だけではなく、保護者・指導者への指導と、学習会後に現場に行き、現場でストレッチのやり方を再確認することで地域との連携を深めていくことが大事になってくると思われる。