九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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自己導尿で退院した女性頸髄損傷者の追跡調査
*小宮 雅美木村 利和渡辺 良一八尋 雅子賀好 真紀椎野 達植田 尊善岩坪 暎二
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p. 2

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抄録
【目的】
 当センターでは、女性頸髄損傷者の自己導尿自立を目指し器具の改良や環境整備等について様々な取り組みを行ってきた。今回、現在の状況の把握と今後の参考とするため追跡調査を行なったので報告する。
【対象】
 対象は自己導尿で退院した18名中、回答が得られた16名。内訳:改良Frankel A9名(頸髄損傷高位評価表C7A:2,C7B:2,C8A:3,C8B:1,T1:1)。B5名(C6B:2,C7B:1,C8A:1,C8B:1)。C1名。D1名。受傷年齢は18から65歳、平均35.9歳。受傷後経過年数は1年10ヶ月から19年1ヶ月、平均9年4ヶ月。
【方法】
 平成15年8月、対象者に対し担当スタッフが退院時と現在の導尿形態、カテーテルの改良、周辺機器と環境について面接及び電話にて聞き取り調査を実施した。
【結果及び考察】
 『導尿形態』排尿方法:自己導尿:11名。膀胱婁:A(C7A,C7B)2名。理由:実用的でなくなった。尿路感染。介助導尿:A(C8A),B(C6B)2名。理由:脊髄空洞症の後遺症で困難。購入したベッドではポジショニングが不十分。自尿:D1名。導尿場所:ベッド上(退院時12名,現在7名)以下数値のみ記載。頸損トイレ(3,2)車椅子上(9,9)洋式トイレ(1,0)。自己導尿に使用するカテーテルの種類:金属カテーテル(14,9)富士システム(2,3)。平均自己導尿回数:(5.25回/日,7.64回/日)。退院時に車椅子上で可能な症例は全例、自己導尿を継続していた。以下、継続できた11名で比較した。『カテーテルの改良』テノデーシスで把持できるように改良(7,5)排尿口の延長(11,10)栓の移動(7,7)容器をかける工夫(7,4)。排尿口の延長はほぼ全例にて実施。対麻痺にも有効と思われる。『周辺機器と環境』改良ズボン(10,8)産褥パンツ(10,8)鏡(10,5)陰唇開大器(6,3)消毒用自助具(3,2)腰上げ台(1,1)くり抜きクッション(5,2)ライト(4,2)棒座(6,4)。感覚が残存している改良Frankel Bでは全例、感覚のないAでも1例がブラインドで自己導尿が可能になり、鏡と陰唇開大器の使用がなくなった。くり抜きクッションや棒座等は、バランスの向上、臀部を十分に前方へ出すことが可能になった、動作の習熟などから使用が減っていた。
【まとめ】
1自己導尿が自立し退院した女性頸髄損傷者の追跡調査を行った。
2調査できた16名中11名が自己導尿を継続していた。
3改良Frankel Bでは全例、Aでも1例がブラインドで可能になっていた。
4身体能力の向上や動作の習熟により、カテーテルの改良や周辺機器は少なくなっていた。
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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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