九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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頚椎椎間板症に対する体幹へのアプローチ
*永津 義竜奥村 晃司木藤 伸宏南 哲也川嶌 眞人
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p. 103

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抄録
【はじめに】
日常生活における偏った姿勢や動作の繰り返しは、静・動的アライメント異常の誘因となる場合が多い。この異常は局所に過度のストレス生じさせる原因となり、様々な症状を誘発すると考える。従って理学療法は、症状部位を局所的にアプローチするのではなく、日常生活で問題となる姿勢・動作から原因追求・考察しアプローチすることが重要である。今回、仕事作業時における静的アライメント不良が運動連鎖機能不全の起因となり頚部痛を誘発したと推測しアプローチした結果、改善の認められた症例について報告する。
【症例紹介】
性別:男性 年齢:48歳 診断名:第56頚椎椎間板症 現病歴:平成14年より頸部周囲に誘引なく疼痛出現。平成15年10月頃疼痛増悪。平成17年4月当院受診し、保存療法目的にて入院となる。既往歴:交通事故(20歳)急性腰痛(十数年前より数回)職業:デスクでのパソコン作業
【初期評価】
X線・MRI所見:第56の右頚椎に骨棘と髄核の脱出あり。疼痛:右頸部前面に安静時痛Visual Analogue Scale(以下:VAS)7/10。頚椎伸展時に頸部後面、左回旋時に右頚部に運動時痛VAS9。下位頚椎以下の脊柱伸展可動域制限著明。筋緊張:右頸部周囲筋・右腰背部の亢進あり。筋機能:右頸部深部筋・左腹部・左広背筋・左股関節筋機能低下あり。デスクワーク時の坐位アライメントは、前額面:頚椎左側屈-左肩挙上-左骨盤下制-右側重心、矢状面:頭部前方偏位-頚椎弯曲なし-胸椎腰椎後弯-骨盤後傾(右>左)後方重心、水平面:頸部左回旋-上部体幹右回旋-上部体幹左回旋、下肢は左下肢を右下肢に組んで座っている。頚椎伸展動作:骨盤後傾位で頚椎-体幹にかけての脊柱の滑らかな伸展みられず上位頚椎で主に行っている。
【理学療法】
坐位・立位アライメントと運動連鎖機能改善による頸部へのストレス軽減を目的に、頸部周囲筋機能改善訓練と並行して脊柱伸展可動域や腹部深部筋などの体幹機能改善訓練を行った。
【結果及びまとめ】
本症例はデスクワークにおける坐位の静止アライメント不良が、頸部や体幹の機能低下を引き起こし運動連鎖機能不全に陥ったために頚椎椎間板症となったと推測しアプローチした。その結果、これらに改善認められ頸部へのストレスは減少し疼痛軽減を図ることが出来た。本症例で具体的な理学療法の方法・考察を加え報告する。
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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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