九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
Online ISSN : 2423-8899
Print ISSN : 0915-2032
ISSN-L : 0915-2032
第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
会議情報

肥満外来を実施して(第3報)
*中村 千恵子日高 滋樹関 美穂赤司 結輝笠原 香織平島 智子西田 亮小川内 サツキ
著者情報
キーワード: 評価, 外来, 肥満
会議録・要旨集 フリー

p. 42

詳細
抄録

【はじめに】当院の肥満外来が設立され10年目を迎える。設立以来肥満外来の患者がのべ160名であった。設立10年目を迎える今年、当院で実施している独自の肥満外来をここに報告する。
【対象】Body Mass Index(以下BMIと略す)が25以上の患者で、年代別には40代から80代までの女性患者17名、平均年齢65.33歳であった。疾患別では、変形性膝関節症11名(65%)、変形性股関節症2名(12%)、腰痛症1名(6%)、高脂血症3名(18%)であった。評価期間を平成16年12月から平成17年3月の3ケ月間とし3回とも測定可能であった14名を対象とした。
【方法】1)月1回の肥満外来時、Body  Composition  Analyzer(エムピージャパン社、以下Inbodyと略す)により、全体の筋肉量、体幹・下肢の筋肉量、体脂肪率、ウエストヒップ比の測定を実施。
2)大体周径指数(ゆのそスケール)を計測した。
【結果】全体の筋肉量が増加した人が、14名中9名(64%)であった。この9名のうち、全体の筋肉量が増加し(下肢、体幹ともに)体脂肪率・腹部脂肪率ともに減少した人が7名(78%)であった。下肢のみの筋肉量が増加した人が2名(22%)であった。
【考察】当院の肥満の患者で、最も多い疾患が変形性膝関節症である。膝関節は、解剖学的に荷重関節であり最も体重が関係してくる。戸田によると、変形性膝関節症と体重に対する下肢除脂肪量の関連性についての文献の中で大腿が体重に対して少ない患者が変形性膝関節症になりやすいという報告がある。一般的な肥満度を表す指標として、BMIが用いられているが、BMIは体格指数であって上半身優位、下半身優位の体型かは判定できず、当病院では独自のゆのそスケールまたInbodyを用い、肥満を体幹、下肢の両面から評価し、個人運動プログラムを作成し運動指導している。
当院では、下半身優位の体型を理想体型としているが、一般的に肥満の患者は、上半身優位の体型が多く下半身優位の理想体型をつくる事を目標とし、当院では下肢だけでなく腹部にも着目し腹部脂肪率を減少させるために腹筋運動と下肢の筋肉量を増加させるために両方の筋力トレーニングを実施している。これらの訓練効果を総合的に判定するために、BMI:24、ゆのそスケール:1、3、筋肉量:体重の75%、体脂肪率:25%、腹部脂肪率:0、8を当病院独自の理想体型チャート(充足率)を作成し患者にフィードバックしている。その結果、当院の理想体型に近づいた患者が9名中7名で78% の達成率であった。
【まとめ】1)H16年度の肥満患者の65%が変形性膝関節症であった。
2)下半身優位の理想体型を評価するため、Inbody、ゆのそスケールを実施した。
3)理想体型チャート(充足率)を作製し達成率は78%であった。
4)達成者の89%がチェック表を提出していた。

著者関連情報
© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
前の記事 次の記事
feedback
Top