抄録
【はじめに】当院のリウマチ(以下RA)外来では、毎月1回地域の患者さんに対し、講義やRA体操等の指導を行なっている。その中で、これまでに工夫したことの3点を紹介し、若干の知見を加えてご報告する。
【方法及び経過】1つ目はテーブルの配置を円形にしたことである。当初、患者さんは正面を見る形で行なっていたが、「患者さんを遠くに感じる」という意見が出てきた。「患者さんとの距離を縮めるには」というテーマの元に話し合った結果、机の配置を円形にしてみた。
2つ目はタオル絞り器の作成である。11名のRA患者さんに対し、ADLで何に困っているかのアンケートをとった。するとタオル絞りが最も多く8名であった。市販されている自助具も殆ど無かったので、自分達で作ってみようと思った。駆動方法は、感電の危険性やコスト面の理由から手動にした。タオルに圧迫力を加えたり、タオルをループ状にしたりした結果、試作品が完成した。そこで試作品を見ての感想を聞いた。
3つ目は、屋外での運動である。数名のRA患者さんより、外出することは通院以外ほとんど無いという訴えがあった。そこで、屋外での運動も取り入れてみることにした。近くの公園へ車で移動し、歩行コースを5分と10分に分けて屋外歩行を行なった。
【結果】以前は患者さん同士での会話や講義内容への質問も殆ど無かった。しかし円形にテーブルの配置を変えただけで、全体の雰囲気が和やかになった。
タオル絞り器の試作品を見ての感想では、「5000円以内であれば欲しい」「ループ状にすると規格が限られる」等の意見があった。
屋外での運動の感想として、「気持ちが良かった」「これを機会に外出しようと思う」等の言葉を頂いた。
【考察】一般に円形のテーブルの配置は和やかなムードを生むといわれている。理由として、丸テーブルには上座がないので、参加者がみんな対等の立場で発言することができるからである。また、同じテーブルに座る人同士は必然的に1つの空間を共有することとなり、連帯意識を持つことにもなる。
タオル絞り器に関しては現在、試作品の段階である。要因として、完成品の価格が2万円以上となり予想以上にコストがかかること、ループ状のタオルは実用性が少ないこと等が考えられる。しかし今後も完成に向け、テクノエイド研究会(仮称)として頑張って行こうと思う。
屋外歩行では感想からも、参加者の皆さんに喜んで頂けたと思う。理由として、家の外に出ることの重要性を再認識できたからではないかと思う。
【終わりに】以上の3点以外にも、今後も患者さんのニーズに少しでも近づける様にしていきたい。そして当院RA外来が、患者さんの自立支援や社会参加のお役に立てればと願う。