九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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急性期リハビリテーションにおける作業療法革命
チャレンジ作業療法士、急性期はゴールデンタイム
*武田 諭志眞武 里子安部 由美子村田 尚美平田 貴子小川 久美
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p. 44

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抄録

【はじめに】当院は、平成15年6月1日に高度医療・総合医療・地域医療を基本方針とした200床の急性期病院として開院した。現在、作業療法士(以下OTR)は16名体制であり、365日の急性期リハビリテーション(以下急性期リハ)に取り組んでいる。開院して2年が経過した中で、現在の急性期病院におけるOTRとしての役割と、今後の展望について若干の考察を踏まえ、ここに報告する。
【急性期病院におけるOTRとしての役割】病棟配属は脳神経外科病棟4名、外科病棟3名、整形外科病棟6名、混合病棟(回復期要素を含む)4名、外来リハは専属1名に加えて整形外科病棟担当者が兼務している。入院リハでは受傷・発症後、短期間で方向性を判断せねばならず、急性期病院のOTRには背景因子を充分に考慮した判断力が求められる。
【急性期リハを重要視した病棟での取り組み】医師・看護師へ急性期リハの重要性を理解してもらう取り組みとして、1)病棟にOTRが常駐することで、医師・看護師の役割をOTR自身が理解する、2)病棟で生活に密着した訓練を実施、3)回診・カンファによる他職種とのリアルタイムな情報交換を行ってきた。
【結果】平成15年7月と平成17年2月を比較してみると、新患処方日数は脳神経外科が5.5日から1.7日へ、整形外科が6.1日から3.3日に短縮した。これは医師を中心とした病棟スタッフ間で急性期リハに対する理解・意識が高まったからと言える。
【考察】ICFの登場により、「生活機能」というプラス面に視点をおく時代が訪れようとしている。そのため、広範囲でOTの活躍の場が期待されるのではないだろうか。それでは期待に答える為にはどうすべきであろうか。当院では目まぐるしい急性期病院の中で、目の前に困っているクライエントに対して「どうにかしてOTを提供できないか」との思いで取り組んできた。医師や看護師の理解を得ることは病院でのチームアプローチにおいて重要である。更に必要なことは、個々人のOTRがOTを提供することで、クライエントの活動能力を引き出し、「生きていて良かった」と感じてもらえるような志を持ち続けることと考える。また、各病棟を総括するリーダーOTRによる病棟とのチームアプローチも鍵となる。1年6ヶ月にわたる取り組みの中で医師からの処方によるリハだけでなく、生活改善アプローチが必要な場合は、OTRが医師へ処方の必要性を伝えるべきであると感じた。そのためには、必要性を説明するために一人一人が持っている経験を伝える「個人の経験を他人の経験へ」できるシステム作りが大切となる。また、急性期において運動の習慣化・活動参加への動機づけ、離床できる環境作りも同時に大切と考える。
【まとめ】今回、当院の1年6ヶ月にわたる急性期リハへの取り組みと経過・結果を報告した。これから改善することは山積みであるが、これからもクライエントに密着した生活改善アプローチを取り組んでいきたい。

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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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