九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第27回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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介護保険申請と退院前訪問指導時期の調査 
!)在宅復帰に与える影響!)
*鎌村 美由樹東 貴子岸本 稔原口 真由美
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p. 6

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抄録

【はじめに】今回、介護保険申請時期と退院前訪問指導時期を調査し、ケアマネーシ゛ャー(以下,CM)・施行業者同行の有無が在宅復帰までにどのように影響しているかを検討したのでここに報告する。
【対象】2004年4月から2005年3月の間に、当院で退院前訪問指導を実施した61例(女性32例、男性29例)を対象とした。平均年齢は、75.9±12.4歳。疾患別では、脳外24例、整形30例、その他7例。
【方法】
1.介護保険新規申請者の入院日から介護保険申請日までの平均日数を、脳血管疾患と整形疾患とで比較。
2.介護保険新規申請者と介護保険取得者の入院から退院前訪問指導までの平均日数を、脳血管疾患と整形疾患とで比較。
3.CM・施行業者同行の有無による退院前訪問指導から退院日までの平均日数を比較。
【結果】
1.介護保険新規申請者の入院日から介護保険申請日までの平均日数
 脳外106.3±98.5日、整形74.3±35.9日
2.入院から退院前訪問指導までの平均日数
 1)介護保険新規申請者;脳外152.7±120.2日、整形81.9±34.4日
 2)介護保険取得者;脳外78.0±32.7日、整形78.8±19.6日
3.CM・施行業者同行有無による退院前訪問から退院日までの平均日数:1)同行あり群24.8±15.9日2)同行なし群40.3±34.8日、同行あり群に比して退院前訪問指導から退院までの期間が短かった。(p<0.05)
【考察】介護保険新規申請者の申請時期をみると、脳血管疾患が整形疾患に比べ一ヶ月近く遅れるという結果がでた。また、介護保険新規申請者の入院から訪問指導までの日数は、整形疾患と比較して脳血管疾患が2倍近く要している事が分かった。それに比べ介護保険取得者は入院から訪問までの日数は整形疾患・脳血管疾患では差が見られなかった。このことから、介護保険の申請時期が訪問指導の時期や退院時期に影響を与えていると考えられる。特に脳血管疾患では発症部位によりADL状態も様々で,障害も重篤になる事が多く、家族の受け入れに時間を要する事が多い。また在宅復帰にあたり、退院前訪問指導時にCM・施行業者が同行する事が、同行しない場合に比べ、退院前訪問指導から退院までの日数を約16日間短縮するという結果が出た。これはCMが同行することが、家族が在宅生活をより現実のものとして捉え、環境を整える準備とともに退院後の心構えを強くする重要な役割を果たしていると考える。

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© 2005 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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