抄録
【はじめに】
高齢者の体力向上を目的に、ホリゾンタルレッグプレス、レッグエクステンション・フレクション、ヒップアダクション・アブダクションの3機種5種目にて、マシーントレーニングを実施した。今回、負荷量のコントロールを行うことで、筋出力の増大が見られたためここに報告する。
【対象と方法】
対象者は当院回復期病棟入院中の50名(男性15名、女性35名、平均年齢74.0±11.7歳、疾患は脳血管障害21名、大腿骨頚部骨折21名、骨盤骨折3名、腰椎疾患3名、その他2名)を対象とした。トレーニング期間は2週から12週間(2週17名、4週23名、6週2名、8週3名、10週4名、12週1名)とした。
マシーントレーニングを週2から3回実施した。初期時、2週間毎と最終時に一回最大挙上筋力(1repetition maximum;1RM)、にて評価を行った。負荷量、回数は、1RMの60%で20回から開始し、4週間で75%で10回の設定に上げた。
今回、初期時と最終時の1RMについてt検定にて比較した。
【結果】
3機種5種目とも1RMが初期時に比べ最終時、有意に増大しており、筋出力の増大がみられた。ホリゾンタルレッグプレスは初期時67.8kg、最終時87.6kg。レッグエクステンションは初期時20.7kg、退院時29.3kg。フレクションは初期時13.3kg、最終時19.8kg。ヒップアダクションは初期時38.5kg、最終時46.3kg。アブダクションは初期時27.2kg、最終時36.6kg。
【考察】
今回、高齢者の体力向上を目的としてマシーントレーニングを実施し、筋出力の増大を図った。
負荷量は、1RMの75%で10回とし、高負荷・低反復に設定した。しかし、急激な高負荷・低反復によるトレーニングは過負荷になる可能性があるため、1週は1RMの 60%で20回とし低負荷・高反復から開始した。そして徐々に、2週で65%を16回、3週で70%を13回、4週目で75%を10回と負荷量を増大させた。また、対象者40人(80%)はマシーントレーニングの期間が2から4週と短期間であった。そのため、今回のマシーントレーニングでは、高負荷、低反復、短期間でも、筋出力の増大が見られることがわかった。