九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 143
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端坐位体幹回旋と股関節回旋可動域の関係性
*小牟禮 幸大矢野 雅直田中 創山田 実森澤 佳三(MD)西川 英夫(MD)副島 義久(MD)
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抄録

【目的】
 立位体幹回旋時に寛骨と大腿骨の位置関係について述べられている文献は散見される.しかし,端坐位体幹自動回旋における股関節との関係性に着目した文献はあまり見られない.そこで今回は,端坐位での体幹自動回旋可動域と骨盤を固定した時の体幹自動回旋可動域(以下上部体幹回旋),股関節回旋可動域との関係性について調べたので報告する.
【対象】
 身体に重篤な既往のない健常成人20名(男性18名、女性2名),年齢24.7±8歳である.
【方法】
 測定にはゴニオメーターを使用し1)端坐位での左右の体幹自動回旋2)端座位での左右の上部体幹自動回旋(骨盤を固定した状態での体幹回旋)3)左右股関節(背臥位で股関節90°屈曲位)の他動内外旋角度の3項目の可動域を測定した.各項目の基本軸移動軸は日本整形外科学会による評価法に従って計測した.統計学的処理にはSpearmanの相関分析を用いて、1)、2)、3)のそれぞれの関係を検討した.
【結果】
 体幹右回旋と上部体幹右回旋(r=0.713,p<0.001),体幹左回旋と上部体幹左回旋(r=0.753, p<0.001)において正の相関関係が認められた.体幹回旋と股関節回旋可動域,上部体幹回旋と股関節回旋可動域において関連性は認められなかった.
【考察】
 端坐位時の体幹自動回旋において回旋した側の寛骨は後方回旋し,対側の寛骨は前方回旋となる.それに伴う相対的な大腿骨の位置関係として前者が内旋し,後者は外旋位を取るといわれている.よって端坐位での体幹自動回旋に左右差があれば,体幹回旋量が大きい側の股関節の内旋可動域が大きくなり対側の股関節の外旋可動域が大きくなると推測される.
 しかし,今回の結果からは端坐位での自動回旋と上部体幹回旋には関係が認められたものの,それらと股関節の回旋には関係性が認められなかった.この要因として,股関節可動域を他動運動で計測した事が挙げられる.端坐位における体幹の自動回旋では,股関節の運動は自動運動となり,それには筋活動や神経システムによる制御機構が関与している.そのため他動運動によって得られた関節可動域とは関係性が認められなかったのではないかと考える.今後は股関節の自動回旋角度や端坐位時の自動回旋との関係性をみていきたい。

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© 2009 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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