抄録
【はじめに】
今回、看介護部への介助指導として、動画における動作解析を可能としたソフトウェア、ダートフィッシュを用いて行った。より理解を得やすく、実践場面へ汎化していく為には、どの様な介助指導を行うべきか実施、検討したので考察を加え、ここに報告する。
【方法】
今回は、食事姿勢及び移乗動作を対象に動画を撮影。その動画をダートフィッシュで加工し、介助指導を実施した。実施後、効果を見る為にアンケートで、意識調査を行った。
【結果及び考察】
1)食事姿勢
車椅子座位と椅子座位において皿から口元までの上肢の移動距離を比較し、分析を行った。結果、椅子座位の方が、移動距離が短く、口元までの 操作時間が短いこと、食べこぼしの確立が低くなることが示唆された。こ のことから、椅子で正しい姿勢で食事を行う事が食べこぼしの軽減、所要 時間の短縮、引いては介助時間の短縮に繋がるということを示した。
2)移乗動作
動画は3パターン作製した。1つ目は介護スタッフの移乗介助動作、2つ目 はリハビリスタッフの移乗介助動作、3つ目に双方が行っている様子を同時 に再生したものを作製した。それを用いて移乗介助時のポイントについて説明を行った。基底面を広く取ること、重心を落とし自分の体重を上手く活用すること、予め介助開始時と終了時の位置関係をイメージして介助に臨むことを提示した。正しい知識を持って介助にあたることが介助量の軽減、介助時間の短縮に繋がることを示した。
3)アンケート内容
以下の3点についてYES、NO形式で回答後、その様に感じた理由についても答えて頂いた。
・椅子座位で食事をとることの重要性を感じたか
・移乗に対する意識の改善度
・動画を用いた介助指導について
結果、全ての職員がYESと答え、その理由についても「動画で良い点と悪 い点が同時に比較できて解り易かった」など良い反応が得られた。よって、良い点と悪い点を同画面上で示すことにより、より楽な姿勢で介助に臨むことの利点を明確化できたものと考える。また、動画によって介助者側が重心の位置や基底面の広さを認識することで利用者の能力を引き出し、スムーズな動作介助に繋がるのではないかと考える。
今回の様に、動画で実際に行った動作の比較を分析して提示することは、ポイントがより明確化され、理解し易くなるものと考えられる。今回得た結果を今後の業務に生かし、より実践的な介助の実施及びその継続に繋げていきたい。
【まとめ】
・動画での介助指導は、理解を得易く有効である。
・良い点と悪い点を同画面で示すことにより、違いを明確化できる。
・今回の介助指導の内容を、実践場面で継続していく為にはどうすべきかが今後の課題である。