九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 017
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当院通所リハの介護度・身体機能の変化
短時間通所リハへ移行して
*平川 樹大石 賢横田 悠介田邊 花倫高柳 公司
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抄録

【はじめに】
 当院では、2006年4月より予防給付が開始とともに6~8時間の通所リハから、個別及び集中的なリハビリテーション(以下リハ)の提供、回復期から維持期へのスムーズな移行を目標に、短時間(3~4時間)の通所リハを開設した。内容としては、利用者に応じた個別プログラムの作成を行い、全対象者に個別リハの実施、マシントレーニング、集団体操、物理療法等を提供している。短時間通所リハを開始し約3年が経過した中で、以前の通所リハと比較すると身体機能面を重視する対象者の意見が多いように感じる。そこで、以前の6~8時間の通所リハと現在の短時間通所リハの介護度と身体機能等を比較・検討した。その中で若干の知見を得たので報告する。
【対象】
2006年3月時点で当院6~8時間の通所リハ(以下A群)を利用し、身体機能測定が可能であった42名。
2009年4月時点で当院短時間の通所リハ(以下B群)を利用し、身体機能測定が可能であった45名。
【方法】
 年齢、性別、BMI、介護度、歩行速度、握力、Timed up&go test (以下TUGT)、片脚立ち、 膝伸展筋力を調査し、比較・検討した。
【結果・考察】
・対象者の内訳として、A群では男性20名、女性22名、平均年齢81.2±8.16歳であった。B群では男性24名、女性21名、平均年齢73.2±11.67歳であった。
 また、介護度ではA群、要支援:3名、要介護1:18名、要介護2:8名、要介護3:10名、要介護4:3名で、9割以上が要介護者であった。B群では、要支援1:14名、要支援2:12名、要介護1:9名、要介護2:7名、要介護3:2名、要介護4:1名で、約6割が要支援者であった。これらを比較すると、B群はA群に比べ年齢は若く介護度は軽度であった(P<0.05)。これは、B群では食事・入浴サービスがなく運動機能面のプログラムが中心であるため、年齢が若く軽介護度の利用者が多いのではないかと考える。
・A群とB群の身体機能を比較すると、歩行速度、握力、TUGTでは有意差は見られなかった。片脚立ち、膝伸展筋力ではA群に比べB群が有意に高値を示した(P<0.05)。これは、B群がA群に比べ年齢が若く介護度が軽度である事も一つの要因と考えられる。さらに、A群との違いとして個々に応じたプログラムの作成を行い、全対象者への個別リハ・パワーリハ等を実施していることもこれらの差に繋がったのではないかと考える。
【終わりに】
 介護給付の開始と供に、維持期のリハビリテーションはより介護保険へ移行・促進されていると感じる。利用者像としても、年齢が若い傾向で軽介護度の利用者が多いことから、身体機能面の重視を求めることが多い。その中で、当院短時間通所リハは、集中的な身体機能面への取り組みが行なわれ、ニーズに合ったリハビリテーションが提供でき有効であると考える。

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© 2009 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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