九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 062
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転倒転落予防対策の取り組み
評価法の変更と対策の標準化
*小笠原 威小川 泰敬田村 幸嗣橋本 まどか財津 由忠今村 貴志吉田 裕一郎猪崎 茜田中 卓也三秋 拓郎荒武 志帆河野 芳廣
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抄録
【はじめに】
 平成20年度当院で発生したインシデントで最も多くを占めたのが転倒・転落であり毎年上位を占めている。それに対し、リハスタッフと看護師で転倒転落対策チームを作り院内事故防止に取り組んでいる。今回、転倒転落対策チームの取り組みで、転倒転落アセスメントスコアシートの評価項目の変更、転倒転落対応策フローチャートの作成を行ったので報告する。今回の報告は、当院の倫理委員会より承認を受けている。
【取り組み】
 当院では転倒転落の危険度を評価するのに、転倒転落アセスメントスコアシートを利用しているが、現在の評価項目では活動性の低い患者の点数が高くなり、転倒のリスクと点数に相関がない状態である。現在は、運動機能面の評価を疼痛・可動域・筋力・運動速度・巧緻性・姿勢反射・深部感覚・平衡機能の8項目で評価しているが、それを寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行の6項目の動作能力の評価法に変更し、平成20年度転倒転落した患者の動作能力の状況を調査し、その結果に応じて点数配分を行った。
 また当院では、転倒転落の危険度の高い患者に対し赤外線センサーや衝撃吸収マット・ベット柵・高さの調整などで対策を行っているが、対策の内容が統一できておらず対策を実施していたが転倒しているケースがある。それに対し、患者の動作能力の状況に応じて対策を決め、動作能力の評価を行えば対策の指標がわかるように転倒転落対策フローチャートを作成した。
【調査方法】
 平成20年4月から平成21年3月まで院内で転倒転落した80名を対象として、転倒した時点での患者の寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行能力と転倒転落対策の実施状況について調査した。また、評価項目を変更する前後のアセスメントスコアシートで転倒した80名の点数をつけ比較を行った。
【結果】
 転倒した時点での患者の動作能力は、立ち上がり不安定25名(31%)立位保持不安定18名(23%)坐位保持不安定17名(21%)歩行不安定15名(19%)起き上がり不安定5名(6%)。対策実施中の転倒が45名(56%)対策非実施が35名(44%)。旧アセスメントスコアシート平均2.85点   新アセスメントスコアシート平均4.48点であった。
【まとめ】
 今回、転倒転落アセスメントスコアシートを変更するのに、転倒した患者の動作能力を調査することで、起き上がりや歩行が不安定な患者(調査結果25%)より、立ち上がりや坐位・立位保持が不安定な患者(調査結果75%)の方が転倒転落のリスクが高いことが分かり、動作能力の状況に応じて点数配分をすることで転倒転落の危険度と点数に相関がもてるよう試みた。それに対し新・旧のアセスメントスコアシートの点数を比較したところ、評価項目を変更した評価法の方が転倒したケースの点数が高くなる結果が得られた。
 また、転倒転落対策フローチャートの作成によって、動作能力を評価することで対策が行えるようになり、転倒転落対策の標準化を行う事ができた。
 今後、今回変更した評価法と標準化した対応策について定期的に評価・検討していきたい。
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© 2009 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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