抄録
【はじめに】
今回、日頃の業務に結びついた取り組みを行いたいという点から、リハビリ「リスク管理ノート」を作成した。
1.医療安全の面から
当院では早期にて救急病院から転院されてくる重症度の高い脳血管疾患等の患者様が増え、高リスクの内科系疾患を多く含む患者様のリハビリテーション依頼が増加し、訓練中を含む院内での事故発生の可能性が高くなっている。これ以外にも経験年数の若いスタッフの増員もあり、全体的に事故発生の要因が多くなっているが、決まった対応システムが確立していないという現状があった。
2.業務改善の面から
当院では、リハビリスタッフも褥瘡回診・栄養サポートチーム回診へ各月1回輪番制で参加している。この中で普段使わない用語・データ・薬品名があり、スタッフ数が増えたことで以前より各スタッフ間の知識、経験に偏りがあることが浮き彫りとなった。
その結果、知識共有に向け、ポケットに入る大きさのノートに、今必要としている情報を集め、携帯する方向で作成に至ったためここに報告する。
【作成の方法】
緊急時の対応と基礎知識データについて検討と資料の作成を行った。緊急時の対応では、訓練中に起こる可能性のある事例について検討、その対策について情報収集をし、資料をまとめた。その後、救急医療経験のある医師の助言の基にフローチャートを作成した。作成後、医療安全管理委員会より承認を得た。
基礎知識データでは、各スタッフが曖昧になっていた基本的なデータや知識を確認し、すぐに調べたい情報と当院の現状に合ったものを抜粋し作成した。
【まとめ】
今回、ノートを作成することで基本的なデータの理解が無ければ系統だったリスク管理を行えないことを痛感した。また、用語等を身近に置いておくことで、カルテ確認時など不明な用語をその場で確認でき、業務の効率化が行えるようになった。ノート作成後、実際の現場で機能させるため、フローチャートに沿った実技を伴った学習を行った。
今後は病院の方針に合わせ、疾患が変化しても対応できるように改定していく必要がある。また、フローチャートを使用し実技を繰り返し行い、迅速に各スタッフが対応できるよう学習していく必要がある。