九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 269
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当院における実習への取り組み
~楽しく学べる環境を求めて~
*嘉数 進兼城 賢也
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抄録

【はじめに】
 当院では養成校から年間5~8校10名前後の長期臨床実習を受け入れている。実習受け入れには指導者自身の復習や指導能力への学びが得られる良い機会となるが、それ以上に業務負担を強く感じることが多いのではないでしょうか。そのようなマイナスの考えで学生を受け入れることや学生に無理な期待を抱く事は、個々人に合わせた教育は難しくなり、学生との関わりは良いものとはなりにくい。当院では、「後輩育成への援助を積極的に行える環境を整えていきたい」「学生へ臨床実習を楽しく学んでほしい」を実現したく、クラークシップの考えを導入した。今回は、クラークシップの考え導入後の学生の感想をまとめてみた。
【対象と方法】
 平成18年度から平成20年度に長期実習をおこない回答の得られた15名に対し、設問に対する自由記載(一部選択)によるアンケート調査をおこなった。本音を聞き出せるように実習終了後に2週間以内に送付するようにした。内容は1)実習に慣れてきた時期・きっかけ2)課題について3)相談相手について4)平均睡眠時間5)実習中楽しかった事、大変だったことに関して調査した。
【結果】
1)実習に慣れた時期は長期実習4週目が多く、きっかけは指導者や担当患者との話しができたことなど2)自分のペースにあわせた量であった、課題はなく症例日誌やレジュメに集中できたなど3)実習生や友人、家族、指導者、学院教務、いない4)3~4時間5)楽しかったことは症例との会話や指導者との討論、集団活動への参加など、大変だった事は患者様との対応に関すること、集団活動における進行などの治療技術に関すること、ケースノートなどの書類に関することなど、多様の意見であった。
【考察とまとめ】
 実習に慣れるのは実習の4週目頃がほとんどである。以前から学生が自分らしく過ごせるように取り組んでいるが、難しい課題である。課題に関しては、「量が多い」という意見は少なくなり課題に追われるストレスは緩和できたのではないか。相談相手に関しては「同施設の実習生」が圧倒的に多く、学ぶ環境に学生が複数存在する事が良い影響をもたらす要因になると思われた。しかし、「相談相手がいない」などの意見もあり、今後の学生への関わりを反省させられる状況もあった。睡眠時間に関しては、3~4時間が中心であり今後も改善の工夫が必要である。実習中の楽しみに関しては、症例や指導者との会話が殆どで「評価が上手くできた」や「患者様との関わり」も多く聞かれた。症例との会話は当然のことながら、指導者との会話ができたことを楽しみと感じられることは全ての実習生から答えが返ってくるようにしていきたい。臨床は“キツイ”という印象ではなく、臨床は“楽しい”と思える実習のあり方を今後も進めていき、卒後の患者様とのやり取りに明るく・希望をもって作業療法を展開できる実習体制を作っていけるように今後も工夫していきたい。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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