九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 306
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当院肢体不自由児通園施設における理学療法ホームプログラムの指導状況と実施状況について
*鹿毛 美里近藤 直樹阿部 光司相良 美和子進 貴臣相良 研
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抄録

【目的】
当院肢体不自由児通園施設(以下通園)の理学療法士(以下PT)は,保護者に対してホームプログラムを指導している.しかし先行研究では「保護者は諸理由によりホームプログラム実施困難」といわれている.よって,今回通園におけるホームプログラム指導状況とそれを実施している保護者の実施状況について調査した.
【方法】
対象は,平成21年9月時点での通園在籍62名の児の保護者と担当PTとし,アンケート調査を実施した.調査は当院通園担当PTが行った.内容は,PT側に1)ホームプログラムの指導をしているか,2)内容の確認・再指導をしているかの2項目,保護者側に1)ホームプログラムの指導を受けているか,2)内容の確認・再指導を受けているか,3)保護者の実施状況の3項目とした.なお,実施状況においては,保護者の受け止め方として,楽しさ・手ごたえ・負担度についても調査し,重症度別(大島の分類;1・4=重症臥位,2・3=重症座位,5~16=中等度,17~25=軽度の4群)ならびに年齢別(1・2歳,3・4歳,5・6歳の3群)で比較検討した.
【結果】
保護者の回答数は51/62名(82%)であった.指導状況について,PTは49/51名(96%)に指導しており,保護者も47/51名(92%)が指導を受けていた.しかし,確認・再指導となると,PT;34/49名(69%),保護者;31/47名(66%)と共に低下した.保護者の実施状況では,47名全員が何らかのホームプログラム(例:ストレッチ,運動発達促進)を実施していた.但し,これらの指導を受けた内容の中で,全ての内容を実施していた保護者もいれば,全ては実施できていない保護者もいた. その実施できていない理由として,「家事等により,本児との共有時間がない」等が挙げられた.保護者の受け止め方をみると,楽しさでは,重症度別での各群と年齢別での1・2歳群及び3・4歳群は8~9割が楽しめていると回答し,年齢別での5・6歳群では5/16名が楽しくないとしていた.手ごたえでは,重症度別・年齢別の全群で8割以上が手ごたえを感じていた.負担度においても,全群で8割以上が負担なく実施していたが,重症度別の重症臥位群では3/18名が負担であると回答した.
【まとめ】
今回の調査では,PT・保護者共に初回指導に関して高い認識を持ち,保護者の実施状況においても,先行研究と異なり積極的な意見が多かった.一方で楽しくない・負担であるとの意見もあった.よって,今後は両者の意見を考慮し,PTが家庭環境の配慮等を含めたホームプログラムのあり方について検討していく必要がある.

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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