九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 38
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心移植後、心臓リハビリテーションの経験 
筋出力パターン分析と病理組織所見から
*立野 伸一石橋 輝彦奥村 亜沙美新堀 裕外牧 潤
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抄録

【はじめに】
X連鎖性拡張型心筋症(X-linked dilated cardiomyopathy:XLDCM)による重症心不全患者の海外渡航心移植後、スポーツ再開を目指す症例の心臓リハビリテーションを施行する中、運動耐容能向上の阻害因子としての抹消機能(骨格筋持久力)の問題に直面した。そこで、筋機能評価と病理学的所見からスポーツの可能性について検討した。
【症例・経過】
18歳男性、190cm、69kg、2004年13歳の時に息切れ動悸を主訴に受診、拡張型心筋症の診断加療。筋肉痛、CPK上昇認め精査にてX 連鎖性拡張型心筋症(XLDCM)と診断、LVDd88mm、EF25%、XLDCMは20歳前後の死亡が多く、CRTDの適応なく2009年3月ドイツ、バドユーンハウゼン心臓センター転院、HUリストとなり5月心移植施行。退院後も二度の急性拒絶反応にて免疫抑制療法施行、9月帰国、心リハ開始。
【方法】
運動耐容能についてはトッレッドミル運動負荷試験施行。筋出力パターン分析はBIODEXによる60,120,180deg/secにおける Peak Torque, Peak Torque-%BW、%Work-Fatiqueを解析。病理組織学的所見は筋生検による心筋・骨格筋の免疫組織染色、WesternBlotting解析、遺伝子解析所見を参考にした。
【結果】
運動耐容能(負荷終了理由)は5.3METs(呼吸苦)から8.6METs(両下肢痛)と改善。筋出力パターン分析では、Peak Torque, Peak Torque-%BWは術後8ヶ月までは順調に改善、10ヶ月にはプラトー、%Work-Fatiqueについては、特に左下肢では32%,60.1%と骨格筋痛を伴う極端な低下を認めた。病理組織所見では、免疫組織染色にてジストロフィンに対する抗体反応はやや低下していたが、ウエスタンブロッティングの結果からは、骨格筋のジストロフィンに異常はみられなかった。RNA解析では骨格筋において脳型、プルキンエ型ジストロフィンが代償していた。
【考察】
移植後、心機能改善し一見順調な回復を呈するように思われたが、一旦低下したCK値が1000Ul前後で推移していること、運動誘発性骨格筋痛出現をみること、組織所見で染色低下をみたことより、安易にスポーツの可能性を伝えるのは疑問、しかし、今後、細胞の代償作用にも期待をしたい。
【結語】
今後、スポーツ再開を目的とする心リハを進めていく上で、骨格筋機能、特に筋持久力の改善がどこまで得られるか、病理組織学的側面も含め、拒絶反応、感染等を考慮しながら経過観察予定である。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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