九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 388
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造血器腫瘍患者の活動状態把握および活動量計側方法の一考察
*西村 繁典文 哲也中島 義博加藤 美津子斎藤 弘道志波 直人橋口 道俊長藤 宏司岡村 孝
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抄録
【はじめに】
造血器腫瘍患者は多剤高用量の抗がん剤を使用し、基本動作・歩行能力・日常生活活動等に制限を来たす症例を多く経験する。
今回、造血器腫瘍患者への治療や活動制限によって生じる影響を日常生活活動量の視点から検討し、活動状態の把握を行った。また同時に、造血器腫瘍患者の活動量計測を行う際に使用する機器の検討も行った。
【対象と方法】
1.低活動強度動作に対する加速度計計測の妥当性
対象は、健常人男性1名(年齢36歳)。使用機器は、3軸加速度計(パナソニック電工株式会社、身体活動量計アクティマーカー、活動強度:METs表記、以下3軸)及び、1軸加速度計(株式会社スズケン、生活習慣記録機ライフコーダーGS、活動強度:0,0.5,1~9の11段階表記、以下1軸)。方法は、3軸・1軸を腰部装着し各々の動作(トレッドミル歩行、立ち上がり、起き上がり、寝返り)を5分間継続して実施し、計測される活動強度(METs)を確認した。
2.造血器腫瘍患者の日常活動状態の把握
対象は、治療により活動制限のある造血器腫瘍患者5名(男性2名、女性3名、34歳~73歳、平均60歳)。方法は、3軸を腰部装着してもらい、活動制限(ベッド上、病室内、病棟内)されている日常活動状態における活動量を計測し、活動強度レベル及び活動時間を把握した。本研究は、対象者に説明・同意を得て行った。
【結果】
1. 3軸・1軸ともに立ち上がり動作・歩行動作に関しては動作中の活動強度をカウントしており、活動強度は動作に応じた値を示していた。低活動強度(寝返り・起き上がり)での動作は、1軸において活動強度カウントは0.5(装着による体動での微小動作から1.8METs未満の動作までを示す)あるいは2(2.3METs)であり、動作中の活動強度を全てカウントしていなかった。3軸では、動作中活動強度をカウントしており4~6METsであった。
2.活動範囲により活動強度に差が見られたが(ベッド上(<3METs)・病室内(<3.5METs)、病棟内(<4METs))、活動時間の差はなかった。
【考察とまとめ】
健常人にて3軸・1軸の加速度計による同時計測を行い、歩行動作及び低活動強度動作での活動強度の比較検討を行った。低活動強度動作での1軸の動作測定は、動作中カウントできておらず(0.5あるいは2)、数値が各動作を示すものとは言い難く、3軸は動作をカウントしており、1軸と比較し3軸で計測したものが低活動強度動作をより検出していた。その為今回の機種比較では3軸で計測を行うことが、低活動状態を強いられる造血器腫瘍患者の活動を把握するためには適当と考える。
また、造血器腫瘍患者の日常活動状態を計測した結果、活動範囲により活動強度に差が見られ、病棟内を活動している患者でも3~4METs以下であり、今後活動強度を考慮したアプローチも重要と考える。
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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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