九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 49
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在宅での食事動作における質の向上を目指して
環境設定から考えるアプローチの検討
*末村 剛大肝付 兼能 谷崎 豊喜上川 真吾姉川 由佳
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キーワード: 食事動作, 自助具, 環境
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抄録

【はじめに】
 機能維持期の外来リハビリにおいて身体機能の改善を目的としたリハビリテーションプログラムと同時に、残存機能を生かした生活場面でのアプローチがQOL向上のために重要であると考える。そこで、食事場面における患者様のdemandに答えるため、自助具を作成し残存機能を生かしたアプローチを行なった。その結果若干の変化を得たのでここに報告する。
【症例紹介】
 70歳代 男性 脳出血後遺症 左片麻痺 demand:お椀を口元まで運んで食べたい
【医学的所見】
 Br.stage:3-5-4 筋緊張:安静時において、肩甲帯周囲筋、腹筋群、大殿筋の低下が認められ、胡座位での食事場面においては、肩関節周囲筋の過剰努力が出現する。 FIM:118/126 減点項目 移乗、歩行、階段
【身体機能面】
 実際の食事場面:麻痺側で茶碗を把持し、大腿部上に載せ、茶碗から口元までの距離が遠い状態で食事動作を行なうため、食べこぼしがみられる。吸い物は、机上に6cm程度の板を置き、頚部・体幹を前屈させながらお椀へ口元を近づけるように動作を行なうため、麻痺側上肢の参加が見られていない。
【問題点】
#1.肩甲帯周囲・体幹の安定性低下 #2.上肢挙上時の肩周囲の過剰努力 #3.食事動作能力低下
【プログラム】
 1.環境設定 2.リーチ動作練習 3.食事動作練習
【結果】
 実際の食事動作:上腕から前腕をサポートできる環境設定の導入により、肩甲帯と手関節の安定性が向上し、茶碗から口元までの距離や食べこぼしの減少が図れた。
【考察】
 食事動作観察上、除重力下でのリーチはスムーズであった点をヒントにスプリングバランサー(以下SB)を作成した。
 リーチ動作の場面ではSB装着により、肩周囲・手関節の過剰努力やクローヌスを軽減させることが出来たが、食事場面での軽減は困難であった。原因としては、手関節の安定性不足によって起こる肩周囲の過剰努力や、姿勢不良が考えられる。また、セッティングに多くの介助を要するため、介助者への負担が大きいと考える。
 これらの問題点を改善するべく、肩関節や体幹がより安定した中で末梢の前腕や手指を動かすことができるような台を家庭での食事場面に合わせて作成した。これにより、手関節掌屈にて固定した中で口元近くまでお椀を運ぶことができるようになった。また、症例自身も以前の自助具より使用しやすいと感じている様子であった。
 今回、食事場面に対して環境設定を中心にアプローチを行った結果、初期時の問題点であった食べこぼしや、汁物の食べにくさについては改善を得ることができた。これにより本人のモチベーション向上もみられるため、今後アプローチの継続により、身体機能面の変化や、在宅の環境の変化に合わせた自助具の作成を行う必要があると考える。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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