九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 50
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当院における排泄リハビリテーションの現状
*山中 みちる村田 奈理加溝口 祐香槌野 正裕神山 剛一(PhD)荒木 靖三(PhD)
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抄録

【背景】
リハビリテーション医療の中で排泄に関する問題は、患者だけでなくその家族や介護者にとっても重要な問題である。現在、理学療法士による排泄リハビリテーションは、動作的なアプローチ(起居動作、移乗、移動)が主であり、直接的なアプローチが行なわれている報告例は少ない。当院は大腸肛門専門病院であり、排便障害を有する患者が多く来院する。その中で、理学療法士はバイオフィードバック療法の一環として直接的アプローチを行っている。今回、当院の過去一年間に受診した排便障害を有する外来患者を対象に理学療法士が関与した内容について調査したので報告する。
【対象と方法】
2008年2月から2009年2月の間に当院に外来通院し、理学療法を施行した245例に関して診療記録を後方視的に調査した。調査内容は、年齢、性別、障害名、理学療法処方内容、理学療法実施回数とする。
【結果】
理学療法実施は、男性107例、女性138例の計245例。平均年齢58.69±21.19歳。理学療法対象者の中で排便障害が77.1%を占めていた。排出困難例は152例となり排便障害の62%を占めていた。また、排出困難例152例中128例に対し簡易便座を用いた疑似便の排出訓練を実施。実施回数は、平均3回(1回~18回)であった。便失禁例は33例となり排便障害の13.5%を占めていた。便失禁例33例中8例に対しては、疑似便を用い留置した状態でのADL訓練を実施。実施回数は、平均11回(1~56回)であった。
【考察】
当院を外来受診した排便障害を有する患者で理学療法士が関与した内容について調査した。当院の外来理学療法対象者のうち77.4%が排便障害であり、排便に関する問題を抱えている症例は少なくない。その中でも理学療法士が関与した症例では排出困難例が最も多く存在した。当院では、検査科と協働した直接的なアプローチを行うことで、症状の改善を期待している。内容は、実際の排便動作を再現した(疑似便を直腸に留置した状態で簡易便座を用いて疑似便を排出する)実用的な訓練である。また、運動学的視点からみた排便姿勢やいきみ動作(腹圧の加え方)を指導している。便失禁例に対しては、疑似便を直腸に留置した状態で起居動作や歩行等のADL訓練を行ない、実生活に基づいた肛門括約筋や骨盤底筋群の筋収縮の学習を促している。
【まとめ】
リハビリテーションを実施していく上で排便障害は大きな問題となるにも関わらず、患者側の羞恥心や治療者側の知識不足により、障害としての認識が薄いように思われる。実際、当院では理学療法の介入により排便障害が改善した例は少なくない。排便障害に対する理学療法アプローチについての報告は少ないが、QOL向上の観点からみても今後発展すべき分野であると考える。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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