九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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理学療法士としての栄養指導への関わり
肥満症2型糖尿病患者を通じて
*小名川 知徳*塩村 侑也*竹井 和人
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p. 232

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抄録

【はじめに】

糖尿病療養において、薬物療法、食事療法、運動療法を併用しながら血糖のコントロールを行うことが重要であることは言うまでもない。しかしながら、食事や運動は生活習慣を変更する必要があるため、実施し継続していくことは容易ではない。今回肥満症2型糖尿病の60代女性に対し、運動療法・食事療法の両面から介入を行い、行動変化とともに良好な経過が認められたため報告する。

【症例紹介】

60代女性、2型糖尿病、H15年耐糖能異常指摘され、当院外来治療開始する。途中H18年2月からH21年10月まで治療自己中断する期間あるなど、血糖コントロール不十分であったため、H26年5月より週1回運動療法開始する。運動指導介入時、身長155.5cm、体重93.8kg、ウエスト121.5cm、BMI39kg/㎡、HbA1c9.9%であった。

【療養指導の内容】

当初体重の5%減少とHbA1c8%台の血糖コントロールを目標として、運動および食事の指導について以下のように実施した。運動療法は週1回の外来通院時に有酸素運動、抵抗運動を実施。運動の強度は自覚的運動強度 (RPE)の Borg Scale 原法13 「ややきつい」を基準として負荷量を調整した。また、自宅での運動指導においては運動習慣について、行動変容ステージのプロセスを参考に分類を行い、自宅での運動記録を確認し、負荷量の設定を段階づけながら指導した。

食事指導は、運動療法の介入を開始した1年程後、「肥満症治療ガイドライン2016」(日本肥満学会)に引用されている食行動質問票にて食行動の評価を行い、自宅での食事記録を確認し、食行動に関する指導を追加実施した。

【結果】

介入当初から1年経過時点で、体重は94.5kgから89.7kgへと、5%の減少がみられた。また、HbA1cは9.9%から8.6%へ減少した。さらに1年を通じて自宅で週平均3日以上40分程度ウォーキングをする運動習慣が得られた。

食事指導追加後では、間食が少なくなるなど食行動に変化が見られた。介入1年後から2年経過時点で体重は89.7kgから90.0kg、HbA1cは8.6%から8.8%となった。

【考察】

本症例は運動療法介入から2年間経過し、現在も治療を継続している。肥満症や肥満2型糖尿病の治療には食事療法や運動療法を長期に継続することが必要であるが、治療から脱落し失敗する場合も多い。本症例も、治療中断する期間があった事から、運動療法開始当初は長期的な介入を行う事を念頭に、行動変容ステージに応じた働きかけと、日々の運動記録から段階的な目標設定を心掛けた。このため脱落する事無く行動の変化が進み、運動習慣が定着した。このため運動以外のセルフケア行動にも認識を深めてもらうため、食行動に関する評価を実施し、週1回の運動療法時に食事に関する指導も行った結果、介入から2年経過し血糖コントロールが改善し、当初の目標であった減量状態を維持している。糖尿病患者における長期的な介入が生活習慣の維持や代謝改善に有効であることから、本症例においても、食事に関する介入で食行動に対する認識が変化し、それまで継続した運動習慣と共にセルフケア行動の改善につながり、リバウンドすることなく治療を継続できたのではないかと考える。

今回長期的な介入を通じて、減量や良好な血糖コントロール状態を持続していく難しさを感じた。今後はさらに良好な血糖コントロールを得るため、具体的な数値目標を定めた有効な運動療法の実施や、改善したセルフケア行動の継続のため、行動の失敗しやすい状況と考え方を想定した個別的な予防策などを検討しなければならないと考える。

【倫理的配慮,説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。

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