九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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背椎椎体骨折患者の転倒原因の調査と対策
*山口 佳介, *永吉 由香, *繁松 敬幸, *玉置 巧伍, *石橋 竹虎, *瀨口 真太郎, *舌間 崇士
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p. 30

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抄録

【はじめに】

転倒により外傷が発生する頻度は54~70%程度で、このうち骨折に至るケースは6~12%程度であるといわれている。つまり骨折の予防には、転倒への対策は欠かせないものであると言える。転倒の原因は、身体状況に関連した「内的因子」と生活環境に関連した「外的因子」に分けることができ、内的因子には加齢に伴う筋力の低下、バランス能力の低下がある。これらの能力が低下すると転倒に対するリスクが高くなるとされている。我々は転倒し、脊椎椎体骨折を受傷した患者に対し、バランス運動と筋力強化運動を中心に行い、退院時にはこれらの運動の継続を指導している。しかし、「転倒した高齢者の50%が再転倒する可能性が高い」との報告があるように、これだけで再転倒を防ぐことができるのかとういう疑問を感じた。今回、外的因子に関する調査を行い、転倒の原因を調査することで、退院時指導を強化し、再転倒の予防につながるのではないかと考えた。

【対象と方法】

転倒受傷し、当院にて脊椎椎体骨折と診断を受けた9例(男性2例・女性7例、平均年齢78.3±8.37歳)を対象に直接記載にてアンケート調査を施行した。アンケート内容は、①転倒の原因、②転倒場所、③転倒時の履物とした。なお脳血管疾患に起因する障害や認知面に問題のある症例は除外した。

【結果】

対象者9例(男性2例・女性7例)のうち、①転倒の原因は「滑って転んだ」が44%(4例)、「何かに躓いて転んだ」が33%(3例)、「動作時にバランスを崩した」が22%(2例)であった。②転倒場所は「屋内」が88%(8例)、「屋外」が11%(1例)であった。「屋内」の詳細な場所は、「居間」が50%(4例)、「台所」が25%(2例)、「玄関」、「廊下」がそれぞれ12%(1例)であった。③転倒時の履物は「スリッパ」が50%(4例)、「靴下」が37%(3例)、「裸足」が12%(1例)であった。

【考察】

『高齢者ができる限り要介護状態に陥ることなく、健康で生き生きした生活を送れるように支援すること』。近年、社会の流れはこの介護予防の必要性が強く唱えられている。高齢者で介護が必要となった原因の1つに転倒、転落などによる骨折があり、転倒・骨折が要介護に至った原因の10.2%を占めているとの報告もある。転倒予防の運動療法として、バランス運動と筋力強化運動が有効であるとされており、当院においても転倒が起因した疾患の患者に対し、転倒予防の観点から運動の重要性や自主にて行えるバランス運動や筋力強化運動や動作を指導し、パンフレットを配布している。今回のアンケート調査より、屋内で転倒したものが8割を超えることが分かった。さらに、その中で外的因子となりうる履物に関しては靴下、スリッパを着用していたものが8割を超えていた。靴下、スリッパ履きでの屋内の移動は、滑りやすいことが容易に判断できる。これらの結果より転倒の原因となる外的因子にも着目し、屋内での転倒が多いことから滑り止めのある靴下、踵まで覆われた室内履きの使用を勧めることをパンフレットに追加し、指導を開始した。今後、継続調査とともに症例数を増やし、更なる転倒予防策を見出していきたい。

【倫理的配慮,説明と同意】

本調査はヘルシンキ宣言の精神に則って行った。データ使用については、対象者に調査の趣旨と個人情報保護について説明し、同意を得た

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