2024 年 36 巻 2 号 p. 75-83
当院は進行喉頭癌に対して喉頭温存を目的にmodified RADPLATを行ってきた.本検討T3,T4a喉頭癌63例における75歳未満,以上の5年局所制御率はそれぞれ88%,91%,5年喉頭機能温存生存率は77%,73%であった.75歳以上ではGrade3以上の好中球減少とHb低下の頻度が高い傾向にあった.進行下咽頭癌に対してはchemo-selectionとしてTPF導入化学療法を行い手術,あるいは化学放射線治療を行っている.StageⅢ,Ⅳ下咽頭癌100例において,75歳以上では未満と比較して化学放射線治療の3年無増悪生存率,全生存率が不良であった.さらに75歳以上では十分なシスプラチン投与が困難であった.進行喉頭癌に対するm-RADPLATは高齢者にも忍容性があり,その治療成績は非高齢者と同等であった.しかしながら進行下咽頭癌に対するTPF療法後の化学放射線治療において,高齢者の治療成績は不良であり,その治療方針の決定は注意深く行う必要がある.