抄録
骨軟骨腫は長管骨の骨端近接部の骨幹端に好発する軟骨性の腫瘍であるが, 喉頭の発生例はわれわれが渉猟した範囲では自験例のみである.今回われわれは声門下腔に発生した骨軟骨腫の症例を経験したので報告した.症例は67歳女性で, 主訴は咽喉頭異常感.97年11月感冒にて近医耳鼻科を受診した際, 喉頭内に腫瘤を指摘され紹介にて当科受診.初診時前連合直下の声門下腔に, 表面平滑で黄白色・半球状の径5mmの腫瘤を認めた.endolaryngeal microsurgery下に腫瘤を摘出した.腫瘤は広茎性で甲状軟骨との連続性が認められ甲状軟骨から発生したものと考えられた.病理組織学的所見では軟骨組織, 骨組織およびその移行像からなりいわゆる軟骨帽が認められ, 骨軟骨腫と診断された.骨軟骨腫の治療は外科的摘出が唯一の方法である。術直後より咽喉頭異常感は消失し, 現在まで腫瘍の再発は認めていない.