喉頭
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声門癌の進展形式に関する検討
鈴木 基之吉野 邦俊藤井 隆上村 裕和栗田 智之赤羽 誉毛利 武士島田 貴信
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2008 年 20 巻 2 号 p. 67

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抄録
喉頭垂直部分切除術 (front-lateral partial laryngectomy) は主に放射線治療後再発声門癌T1および声門下進展の軽度なT2症例を適応として当科では過去7年間に45例に対し施行された.本法の腫瘍摘出までの手順の概要は以下の通りである.甲状軟骨正中を切除・輪状甲状間膜を切除し内腔にアプローチ・健側声帯を切除し喉頭内腔を展開・患側の傍声門間隙を剥離。患側の声帯後方を切除し摘出する.これら切除マージンはいずれも数mm~10mm程度であり, 他の頭頸部癌の切除時に比べ極めて小さい.今回当科において手術 (喉頭全摘術および喉頭垂直部分切除術) を施行した声門癌を対象とし, これらの切除標本を用いて腫瘍の各方向の進展形式を検討した (全摘標本88例, 部切標本45例)
検討項目は,
(1) 下方進展 : 声門下の進展形式
(2) 側方進展 : 傍声門間隙・甲状軟骨近傍の進展形式
(3) 体側進展 : 前連合近傍の進展形式
(4) 後方進展 : 声帯突起近傍の進展形式
の4点である.
これらから声門癌の立体的な進展形式と解剖学的なbarrierを確認し, 喉頭垂直部分切除術が現在の適応症例に対し安全な術式であるのか.また声門下進展例や甲状軟骨浸潤等の進行例が適応となる可能性があるのかを考察する.
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© 日本喉頭科学会
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