日本LCA学会誌
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解説
建築分野における定量的環境情報宣言の活用動向
神崎 昌之柴原 尚希鈴木 好幸小林 謙介伊藤 聖子浦島 茂片岡 顕
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2017 年 13 巻 2 号 p. 142-149

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抄録

本解説では、建築分野のライフサイクルにおける定量的環境情報宣言の活用動向について報告する。日本国内では、エコリーフ環境ラベルやカーボンフットプリント(CFP)を活用した建築資材の環境情報開示が進んでいる。さらに、建築物自体のCFP宣言認定が始まっており、運用段階以外のライフサイクル段階に着目した評価を通じて、より合理的な低炭素材料や工法の開発に繋がることが期待されている。一方、環境情報の施策活用は海外において活発である。米国を中心に普及が進んでいる建築物の環境性能評価システム(LEED)は、最新の評価基準の中で、特に建材などのマテリアルの評価に大きくタイプⅢ環境宣言(EPD)を活用している点が特徴的である。また、欧州の建設資材規制では、欧州経済地域で販売される建設資材に関する天然資源の持続可能な使用と建設工事の評価におけるEPDの活用が推奨されている。欧米のフットプリントコミュニケーションにおいては、建築事業者等がサプライヤーのEPD情報を活用しエコデザインを実施する流れが指向されており、その状況は国際標準化に波及しつつある。日本国内の建築実務者に対するアンケート調査によると、約7割が環境情報宣言に関心を持っており、評価方法の整備、社会への浸透などを課題視している実態が示唆されている。

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