日本LCA学会誌
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目次
巻頭言
特集「バッテリー循環システム」
解説
  • 菊池 康紀
    2025 年 21 巻 2 号 p. 58-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/04
    ジャーナル フリー

    二次電池は充電・放電を繰り返して利用可能な蓄電装置であり、電子機器や電動アシスト自転車、再生可能エネルギーの蓄電、電気自動車(EV)など幅広い用途で利用されている。脱化石化に向けたエネルギー転換においても重要な役割を担い、今後の導入拡大が見込まれる。二次電池のライフサイクルは、原材料調達から製造、使用、廃棄・リサイクルまでの過程を含み、ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境影響評価が進められている。特に、リチウムイオン電池(LIB)は主要な二次電池であり、その正極・負極材料や電解質の選択が性能や環境影響に大きく関わる。既往のLCA研究では、正極活物質の種類や製造技術、電力原単位が結果に影響を及ぼすことが示されている。使用段階では、充放電効率や用途による影響が大きく、EVの導入が環境負荷低減に貢献する一方、電源構成や充電インフラの状況によりその効果が変動する。また、定置型用途では、太陽光発電と組み合わせた水素製造などでの活用も検討されている。廃棄・リサイクルの段階では、金属資源の回収技術やプロセスが多様化し、直接リサイクルや湿式製錬などが比較されている。環境負荷を低減するには、リサイクル技術の組合せが重要である。今後、二次電池技術の急速な進展を考慮し、適切な評価基準の確立と持続可能なシステム設計が求められる。

  • 二見 徹, 左向 貴代
    2025 年 21 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/04
    ジャーナル フリー

    脱炭素化の潮流のなかで、世界では電気自動車(Electric Vehicle; EV)への移行が加速している。EVは、新車製造、中古車流通、バッテリーリパーパス、リサイクルという複数フェーズからなる資源循環の可能性を有している。本稿では、資源循環型製品としてのEVの潜在能力について多角的に分析することで、日本のEV市場における資源循環の課題と展望を明らかにした。日本市場では中古EVの約8割が海外に流出し、資源循環のボトルネックとなっているが、その背景には、バッテリー性能への不安や市場の透明性不足等の構造的な課題が存在する。この課題に対して、バッテリー性能評価基準の確立や残価保証プログラムの導入等の解決策を提示した。

  • 磯部 眞弓
    2025 年 21 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/04
    ジャーナル フリー

    製品のカーボンフットプリント(CFP)は、その製品の気候変動に対する影響を包括的かつ定量的に示す手段として活用されてきた。しかし、今までは統一された算定方法が決まり難いため、具体的な法規制として活用されることはなかった。近年、CFPを算定するための情報基盤が整い、一定のコンセンサスがとれる見込みが出たことから、算定した結果を規制に活用する動きが欧州において始まった。そこで、欧州における以下の3つの法規:1) 国境炭素調整措置(CBAM)、2) 欧州バッテリー規則、3) エコデザイン指令(ESPR)の内容を中心に確認しながら、今後求められる対応について考察した。

  • 木通 秀樹
    2025 年 21 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/04
    ジャーナル フリー

    本稿では、近年、急速な普及が進む電気自動車(EV)および電池のサーキュラーエコノミーの市場形成の課題解決に向けて、利用側からのアプローチであるスマートユースを提案する。現在、我が国のEV電池のサーキュラーエコノミー市場には様々な課題がある。多くの課題は利用時の不安などが原因となっており、リサイクル手法やリユース電池製造などの供給側の改善のみならず、利用側の改善が必要となる。こうした課題を改善するには、電池の診断等の技術を活用した状態把握をすることで利用者の不安を解消し、利用者の積極的な利用を支援する方法などがある。サーキュラーエコノミーは廃棄物を出さないように製品と資源の利用価値を最大化することで新市場を形成する。スマートユースはこうした利用価値の最大化を利用側から行う取り組みの一つであり、高度なIoT等のデジタル技術を活用して利用者の積極的な行動を引き出すアプローチとなる。今後は、解決方法の具体化と普及促進を行うことで、我が国の市場の早期形成を目指したい。

  • Casper Boks, Leander Pantelatos, Saad Ahmed, Elli Verhulst
    2025 年 21 巻 2 号 p. 95-105
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/04
    ジャーナル フリー

    With the increasing adoption of electric vehicles (EVs), a surge in first end-of-life (FEoL) lithium-ion batteries (LiBs) is expected to become available for either treatment or further use. Since recycling processes are currently insufficient to meet treatment demands in a sufficiently sustainable way, repurposing LiBs for less demanding applications, such as household energy storage systems (ESS), may offer significant economic and environmental benefits. This paper explores the potential for establishing circular value chains for LiBs, focusing on the ecosystem required for their repurposing. Key stakeholders in the value chain are identified, and examples from retail and original equipment manufacturer (OEM) perspectives are discussed. Barriers and opportunities for further development are briefly discussed, with recommendations for future research to ensure a robust, circular system for LiB repurposing.

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