日本LCA学会誌
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目次
巻頭言
特集「産業熱需要の脱炭素化」
解説
  • 陳 文
    2026 年22 巻2 号 p. 84-88
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    本稿は、産業部門における100 ℃以下の低温熱需要の脱炭素化を対象とし、ヒートポンプ(HP)と蓄熱(TES)・蓄電(BESS)を統合的に設計する枠組みを提示する。塗装工場における24時間実測データを基盤に、低温熱がエネルギー需要の大宗を占める実態を明らかにし、再生可能電力とHPの高効率性を組み合わせ、TES・BESSによって需給の時間的不整合を緩和することで、CO₂排出削減と運用コスト抑制を同時に達成できることを示す。さらに、TESは即効的かつ高効率な選択肢として有効である一方、BESSは長期的に系統柔軟性を高める補完技術となり得ることを論じる。これにより、工場単位から産業団地スケールへの展開を見据えた低温熱脱炭素化の実装原理を整理する。

  • 甲斐田 武延
    2026 年22 巻2 号 p. 89-93
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    産業用ヒートポンプは、その高いエネルギー効率と低炭素電力による電化によって、産業部門における高効率な脱炭素化技術の一つとして認識されている。様々な産業加熱プロセスへのヒートポンプの適用拡大をはかるため、高温域で動作可能なヒートポンプの開発と商用化が国内外で進められている。しかし、現在の日本では、燃料価格に対する電力価格の比が比較的高いため、温度リフトの大きなヒートポンプの導入は経済的に必ずしも有利とは言えない。そこで、温度リフトが小さくなるように、ヒートポンプの統合方法を工夫することが重要である。本稿では、このようなヒートポンプ技術の特徴を踏まえ、国内外の開発動向も紹介しながら、産業用ヒートポンプの普及拡大に向けた課題と方策を概説する。

  • 藤井 実
    2026 年22 巻2 号 p. 94-101
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    本稿では、産業および廃棄物セクターにおける熱需要の特性に着目し、温度帯に応じたエネルギー利用の最適化を通じてカーボンニュートラル(CN)を実現する方策について検討したものである。100℃未満の低温熱についてはヒートポンプと再生可能エネルギー電力の活用が有効である一方、100℃を超える産業用蒸気やセメントキルンのような高温熱需要では、電化のみでの対応はコストおよび安定供給の観点から困難が大きい。本稿では、発熱量や性状の異なる廃棄物・バイオマスを、必要とされる温度帯に応じて最適に配分する「適材適所の熱利用」の重要性を示した。特に、リサイクル困難な低品位廃棄物を焼却し、発電ではなく産業用蒸気として供給するWaste to Steamの導入により、エネルギー効率およびCO2削減効果が大幅に向上することを示した。さらに、焼却に伴って発生するCO2を回収・利用して化学原料を製造するライフサイクルカーボンニュートラル(LCCN)概念を示し、ケミカルリサイクルとの比較を通じて、その環境効率および経済性の優位性を論じた。廃棄物の熱利用とCCUを統合したシステムは、現状における排出削減と将来のCN達成の双方に寄与する有力な移行戦略となることを示した。

  • 松田 一夫, 酒井 奨, 橋﨑 克雄
    2026 年22 巻2 号 p. 102-109
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    産業の脱炭素化のためには、産業自身が大気放散している排ガス中のCO2を大幅に削減する必要がある。それを達成するためにキーとなる技術が、CO2分離回収技術とCO2有効利用技術である。これらの技術を組み合わせたカーボンリサイクルという考え方は、産業の脱炭素化には欠かせない。それは、これまで化石燃料の燃焼で生じたCO2をほぼ全量分離回収すること、およびその回収したCO2と再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力で製造する水素を用いて、燃料などのエネルギー源や化学製品(化成品)などを製造して有効利用するものである。しかし、CO2分離回収技術とCO2有効利用技術を導入すると、新たに熱の投入が必要になることや、逆にまた新たに熱が発生する場合がある。これらを含めてCO2削減効果を検証する必要がある。 本稿では、CO2分離回収技術とCO2有効利用技術の内容について解説するとともに、これら技術について、熱(需要と利用)の観点から、その課題を整理し、将来展望について述べる。

解説
  • 市川 貴之
    2026 年22 巻2 号 p. 122-127
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/05/02
    ジャーナル フリー

    国産のグリーン水素製造技術として、我々のグループで取り組んでいるナトリウムレドックス反応に着目した熱化学水素製造反応について紹介する。ナトリウムレドックス反応は金属分離反応(熱還元反応)、加水分解による酸素生成反応、分離された金属ナトリウムと加水分解後に得られた水酸化ナトリウムの反応による水素生成反応の組み合わせで表される。これらの中で、最も高温を必要とする金属分離反応では400℃程度の熱が必要であるが、反応後の熱をカスケード利用可能であるため、原理的には反応のために投入した熱の50%以上の効率で水素を製造することが期待できる。グリーンな水素製造法としては、再エネ電力の電解水素、光触媒、核熱を利用した熱化学水素製造などが想定されている。これに対して、本稿で紹介する熱化学水素製造は、比較的アクセスしやすい様々な排熱や、蓄熱材料と組み合わせることで、反応システムを連続的に制御可能となる。これにより、大量かつ低コストな国産水素製造技術となることが期待される。

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