日本LCA学会誌
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目次
巻頭言
特集「シェアリングの消費者受容性と環境負荷」
解説
  • 天沢 逸里, 木見田 康治
    2025 年21 巻4 号 p. 202-211
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    レンタルやシェアリングといった、消費活動を所有から使用へ促すビジネスモデルの総称である製品サービスシステム(Product Service Systems; PSS)は、顧客ニーズを満たしつつ、脱物質化により環境負荷を削減するとして長らく注目されてきた。そのPSSの環境影響を定量化しようと、過去15年の間に多様な製品に対してLCA事例が発表されてきたが、実際LCAを用いて製品とサービスが混在するPSSを評価することは複雑で、一筋縄ではいかない。本稿では、PSSを対象としたLCAを実施する上での留意点と課題を整理することを目的とする。まず、LCAによるPSSの環境影響評価手法を既往文献をもとに解説する。その上で、具体例として衣服のレンタルサービスを取り上げ、複数の評価事例から目的と調査範囲の設定が結論と解釈にどう影響するのかを議論し、今後PSSのLCAを実施する評価者に向けて留意点をまとめる。

  • 文 多美
    2025 年21 巻4 号 p. 212-218
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    本稿は、循環経済実現に向けた製品有効利用を目指すビジネスモデルへ関心が高まる中、リユースとシェアリングの有効性に注目し、これら利用形態における中古品の消費者受容性について先行研究に基づき紹介する。消費者の製品利用の現状は、不定期に利用される趣味用品にはリユースが、使用頻度の低いイベント用衣類等にはシェアリングが高い適応性を示す。これは、既存の消費スタイルやニーズに合わせた形態の可能性を示す。中古品を用いたこれらの利用形態を消費者に受容させるために二つの重要な点がある。第一に、消費者の行動変容には既存習慣の変更が大きな課題であり、特に未経験者にとって習慣変更自体が障壁となる。第二に、経験者には、費用や手間の低下といった実用性、効率性、利便性への貢献提示が重要である。本稿の知見は、環境負荷低減と持続可能なビジネスモデルの社会定着に現実的な示唆を与える。

  • 木下 裕介, クレム クリスチャン, 小出 瑠
    2025 年21 巻4 号 p. 219-227
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    本稿では、サーキュラーエコノミー(CE)の実現に向けたシェアリング事業のシステム設計手法について論じる。シェアリングは製品稼働率の向上を通じて環境負荷低減に寄与し得る一方で、リバウンド効果またはバックファイア効果により環境負荷が増大する可能性が指摘されている。本稿では循環エコシステムの概念を提示し、消費者行動を考慮したシェアリング事業の事前評価を含めたシステム設計の重要性を述べる。さらに、マルチエージェントシミュレーションを用いた耐久消費財シェアリング事業の事例、およびシナリオ設計を活用したバイクシェアリング事業の事例を紹介し、政策介入やビジネス戦略等による効果とセグメント別戦略の必要性を示す。最後に、シェアリング事業のシステム設計を社会実装へと展開していくために取り組むべき研究課題を提示する。

  • 橋本 征二
    2025 年21 巻4 号 p. 228-233
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    シェアリングやサブスクリプションといった新たなビジネスモデルは炭素中立に向けた取組としての期待が高いが、その実際の効果については多くの議論がなされている。本稿では、筆者らの研究グループにおいて検討を行ってきたシェアリングの事例の中で、傘、乳幼児用品、電動キックボードをとりあげ、これらの評価に取り組む過程で検討・議論してきたことを紹介した。LCAにおいては、機能単位が重要な概念の1つであるが、シェアリングの評価においてはこの機能単位の設定がそぐわないものも多いと考えられ、また、その場合にどのような比較の枠組みがあるのかも十分に議論できていない状況にあると考えられる。リバウンドも含めシステムの変化全体を評価していくことが必要なのであろうが、そうした評価が簡単ではないことも事実であり、様々な事例を踏まえつつ、適切な評価へと議論が進むことを期待する。

一般投稿
研究論文
  • 安藤 聖乃祐, 川崎 昭如, 羽勢 晃大
    2025 年21 巻4 号 p. 234-247
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    近年グローバル化の進展によりサプライチェーンは複雑化かつ多様化し、環境負荷の排出源の特定がより困難になってきた。その中で、スコープ3の観点でサプライチェーンに伴った間接的な環境負荷排出の責任も考慮する必要性が高まってきた。そこで本稿では、間接排出の割合が高くかつ近年の部材高騰の影響を受けた日本の建設業に焦点を当て、日本の建設業のような長く複雑なサプライチェーンの全体像を産業連関分析により明らかにすることを試みた。そのために、既存の手法では困難であった高次の段階のサプライチェーンを短時間で分析可能な手法と、サプライチェーン内の現実と乖離した経路を排除し有効な経路のみを導出する手法の2つを開発した。これらの手法を用いて建設業のサプライチェーンを経路別に試作的に分析したところ、日本の非木造非住宅建築産業の高次のサプライチェーンでは日本の銑鉄産業が中核を担っており、さらに高次の段階では海外の石油や鉄鉱石の採掘産業に依存することが分かった。また、これらの原材料の輸入先を変更することで、CO2排出量を削減できる可能性を示唆できた。

研究資料
  • Ebsa HATEU, Mitsuya MIYAMOTO
    2025 年21 巻4 号 p. 248-257
    発行日: 2025/10/25
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    The rapid industrialization and urbanization of recent decades have posed severe challenges to the natural environment, resulting in a significant increase in waste production. Ready-mixed concrete (RMC) manufacturers face the dual challenges of managing returned concrete and the disposal of waste generated during the washing process. The volume of returned fresh concrete presents environmental and economic challenges, requiring sustainable solutions for resource recovery and waste minimization. Given the need for sustainable development, an increasing number of recycled waste materials and industrial by-products are being utilized to develop sustainable, eco-friendly, controlled low-strength materials (CLSM). Nonetheless, the environmental benefits and impact of this type of material are still insufficiently quantified. This research study employed a Life Cycle Assessment (LCA) to compare the environmental impacts of conventional and eco-friendly CLSM alternatives. A comparative LCA was performed using the ReCiPe 2016 Midpoint (H) life cycle impact assessment method in the OpenLCA software. The results indicated that eco-friendly CLSM, which incorporates returned concrete waste and industrial by-products, is the more sustainable option across all six impact categories when compared to conventional CLSM. Therefore, this study will be helpful for RMC and contractors in facilitating their decision-making process for selecting a more sustainable CLSM.

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