本稿では、産業および廃棄物セクターにおける熱需要の特性に着目し、温度帯に応じたエネルギー利用の最適化を通じてカーボンニュートラル(CN)を実現する方策について検討したものである。100℃未満の低温熱についてはヒートポンプと再生可能エネルギー電力の活用が有効である一方、100℃を超える産業用蒸気やセメントキルンのような高温熱需要では、電化のみでの対応はコストおよび安定供給の観点から困難が大きい。本稿では、発熱量や性状の異なる廃棄物・バイオマスを、必要とされる温度帯に応じて最適に配分する「適材適所の熱利用」の重要性を示した。特に、リサイクル困難な低品位廃棄物を焼却し、発電ではなく産業用蒸気として供給するWaste to Steamの導入により、エネルギー効率およびCO2削減効果が大幅に向上することを示した。さらに、焼却に伴って発生するCO2を回収・利用して化学原料を製造するライフサイクルカーボンニュートラル(LCCN)概念を示し、ケミカルリサイクルとの比較を通じて、その環境効率および経済性の優位性を論じた。廃棄物の熱利用とCCUを統合したシステムは、現状における排出削減と将来のCN達成の双方に寄与する有力な移行戦略となることを示した。