LCとLC/MSの知恵
Online ISSN : 2436-1194
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新規注入方式によるクロマトグラフィー性能の向上
林 慶子熊谷 浩樹
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 7 巻 p. 27-34

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抄録

液体クロマトグラフィーでは、固定相と移動相の二相間の相互作用によって化合物が分離される。しかしながら、サンプルの注入量が多い場合や強溶媒に溶解している場合には、サンプル溶媒にも化合物が分配されてしまい、ピークの歪み(リーディングやピーク割れなど)が引き起こされる(溶媒効果)。溶媒効果の低減には、サンプル溶媒を初期移動相組成とする事やサンドイッチ注入、ミキサー追加などが有効と考えられるが、これらは工程変更やハードウェアの変更が伴う為改善が困難である。

Feed(Focused, Enduring, Extracontrol, Delay volume free)注入は、移動相にサンプルを混和しながら加圧注入する新しい注入機構である。サンプルが強溶媒に溶解している場合や大量注入の場合などにサンプル溶媒への化合物の分配を最小限にし、良好なピーク形状を維持する事が可能に成る事が判明した。

本稿では、HPLC装置のオートサンプラーで一般的なフロースルーニードル注入とFeed注入の比較を行い、Feed注入において良好なピークパフォーマンスが得られたので報告する。また、超高速分析の場合のFeed注入による分析時間短縮についても述べる。

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© 2023 公益社団法人日本分析化学会・液体クロマトグラフィー研究懇談会
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