食品分析に限らず「分析」と名の付くものには必ず分析対象(母集団)が存在する。食品分析の場合、母集団全体を分析に供すると人が食べるものが無くなるので、通常、母集団の一部を抜き出して標本を作製(サンプリング)し、更にその標本の一部を分析に供する。食品分析を難しくする要因としては、食品中で分析種が不均一に分布する事と食品マトリックスが複雑である事が挙げられる。従って、食品分析においては、適切なサンプリング法と分析法を選択する事が最も重要である。
本稿では、食品分析の実務を行う上で知っておきたい事柄、即ち、サンプリングの重要性、我が国の食品分析法の特徴、食品分析における抽出法の注意点、定量法の使い分けについて解説する。
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