LCとLC/MSの知恵
Online ISSN : 2436-1194
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巻頭言
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総合論文
  • 西岡 亮太
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 4 巻 p. 14-32
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス

    新規に開発したホストゲスト相互作用形HPLCキラル固定相3種について、そのエナンチオ分離特性の評価と考察を纏めて論述する。β-シクロデキストリンと担体シリカゲルとの間に糖鎖を含む新規キラル固定相(SUMICHIRAL® OA-7000)が、従来のシクロデキストリン形固定相とは分離特性が異なる事を見出し、更に、水酸基をアセチル化したβ-シクロデキストリン形固定相(OA-7700)が、多くの芳香族キラルアミンに対して優れたエナンチオ分離能を有する事を示した。それらの要因について、分離メカニズムの観点から考察した。又、擬18-クラウン-6-エーテル誘導体をシリカゲルにアミド結合で固定化したキラル固定相(OA-8000)を設計し、その分離特性を評価した。キラル第一級アミンの分離において、OA-7700とOA-8000 が、ゲスト化合物の置換基の違いに対して相補的なエナンチオ分離能を有する事を見出し、その要因を考察した。開発したキラル固定相は、逆相系移動相を用いてキラル分離が可能で、キラル医薬品の分析に有効活用される事が期待される。

2021年度CERIクロマトグラフィー分析賞受賞業績
  • 竹澤 正明
    原稿種別: 2021年度CERIクロマトグラフィー分析賞受賞業績
    2022 年 4 巻 p. 33-40
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス

    LC/MS の飛躍的な発展により、今まで検出困難であった極微量なバイオマーカー(内因性物質)の検出及び定量が可能となった。医薬品開発や医療現場では、医薬品の作用機序の解明、疾患の診断、疾病の経過予測及び治療効果の予測等に、今後益々バイオマーカーの利用が期待される。本稿は、2021 年度CERI クロマトグラフィー分析賞受賞業績の一部を纏めたものであり、生体試料中のバイオマーカーであるアミノ酸やプロスタグランジン(PGs)をLC/MS を用いて定量分析する方法の開発について概説する。一つ目は、ラットの腎疾患及び精神性疲労モデルを用いて、LC/MS によるD-アミノ酸を一斉に定量し、その挙動を評価した結果であり、幾つかのアミノ酸がバイオマーカーとして利用出来る事を見出した。二つ目は、様々な生理活性を有する化合物として知られているPGs に着目し、酸化ストレスマーカーとして知られている8-epi-プロスタグランジンF (8-epi-PGF) のヒト尿中の定量分析を確立した結果であり、高感度で迅速な多検体分析を可能とした。

2022年液体クロマトグラフィー努力賞受賞業績
2021年液体クロマトグラフィー科学遺産認定業績
2021年度POTY賞受賞業績
シリーズ「試料分析の定石とコツ」
  • 熊谷 浩樹
    原稿種別: シリーズ「試料分析の定石とコツ」
    2022 年 4 巻 p. 66-79
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス

    実用的な2次元LC(2D-LC)システムが商品化されてから約10年が経過したが、この間に測定モードの多様化や1次元目と2次元目の移動相の不適合性を緩和する方法の開発などシステムが大きく進歩し、それに伴って2D-LCの利用分野も拡大して来た。本稿では、2D-LCシステムの最近の進歩とそのアプリケーションを紹介する。

  • 合田 竜弥
    原稿種別: シリーズ「試料分析の定石とコツ」
    2022 年 4 巻 p. 80-93
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス

    ペプチド及びタンパク質の固体に対する吸着は、溶液中の有機溶媒によって惹起される高次構造変化に伴うものであり、或る特定の有機溶媒含量(臨界値)を境に急激且つ可逆的に変化(相転移)する事が見出された。これらの知見に基づくと、ペプチド及びタンパク質は、カラム充塡剤に対する吸着能を可逆的に変化させ、カラム充塡剤に対する吸脱離を繰り返しながら、最終的に臨界値を示す溶離液によってカラムから溶出されると考えられた。一方、この吸着能の可逆性を利用したペプチド吸着制御LC が開発された。このペプチド吸着制御LC は、取り扱い時のペプチド及びタンパク質の容器等への吸着回避を目的として、高有機溶媒含量の溶液をLC 装置に導入した場合に問題となるカラム非保持ピークの発生を抑制する事が出来、非保持ピーク発生によって生じる測定精度の損失を回避する事が可能である。加えて、ペプチド吸着制御LC に対する試料導入量は理論上無制限である事から、試料の大量導入による精度の高い高感度定量も可能である。

  • 橘田 規
    原稿種別: シリーズ「試料分析の定石とコツ」
    2022 年 4 巻 p. 94-104
    発行日: 2022/06/15
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス

    食品分析に限らず「分析」と名の付くものには必ず分析対象(母集団)が存在する。食品分析の場合、母集団全体を分析に供すると人が食べるものが無くなるので、通常、母集団の一部を抜き出して標本を作製(サンプリング)し、更にその標本の一部を分析に供する。食品分析を難しくする要因としては、食品中で分析種が不均一に分布する事と食品マトリックスが複雑である事が挙げられる。従って、食品分析においては、適切なサンプリング法と分析法を選択する事が最も重要である。

    本稿では、食品分析の実務を行う上で知っておきたい事柄、即ち、サンプリングの重要性、我が国の食品分析法の特徴、食品分析における抽出法の注意点、定量法の使い分けについて解説する。

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