蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
Third Notes on Nomenclature of some Notodontid-species (Lep.)
MASANAO NAKAMURA
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 11 巻 3 号 p. 34-38

詳細
抄録

11.松村(1925)が,台湾で採集された2♀♀を基に記載したNeoshachia parabolicaは極めて特異な斑紋を有する天社蛾であるが最近その2♂♂を入手して調べたところ,総ての特徴がFentonia属のそれに一致しているのでNeoshachia属をFentonia属のシノニムに指定する.Parabolicaの♂-交尾器はocypeteに酷似しているが,sacculusとjuxtaとの接合部にみられる突起の形や第8腹板の形に於いて区別し得る.12.岡垣(1956)はBRYK(1949)が北部ビルマから記載したPheosiopsis niveipicta及びNotonta flavicincta birmidontaがSuzukia属に属するものと推定した.その後BRYKの論文の再検討を行った.KIRIAKOFF(1959)は,タイプの♂-交尾器の検討から岡垣(l.c.)の説を否定している.併しKIRIAKOFFの示したbirmi-dontaの交尾器の図は,明に我々がSuzukia cinereaと呼び習わしている種の交尾器と酷似しているので,寧ろ岡垣の説を採りたい.若しKIRIAKOFFが正しければ,これまで我々はcinereaなる種を誤認していたことになり,改めてSuzukia属の模式種のために新しい種名を設定せねばならないだろう.Niveipictaの交尾器もSuzukia olivaceaに類似しているが,いま直ちにPheosiopsis属をSuzukia属に含ませることには些か躊躇を憶える.13.ROEPKE(1943)が西部ジャヴァから1♀を以て記載したMacrohoplitis kalisiの1♂を台湾から入手した.調査の結果,木種はDamatoides baibarana MATSUMURAと同じもので,更にGAEDE(1930)に依ればbaibaranaはDamata microsticta HAMPSONのシノニムであると云うから,次の如くに整理される.猶本種の♂-交尾器は多くの外部標徴と同じくHybocampa umbrosaに酷似しており,aedoeagus,juxta.valvae或いは第8腹板の形態に依って僅に区別することが出来るに過ぎない.従ってMacrohoplitis及びDamatoides両属はHybocabpa属のシノニムである.Hybocampa microsticta HAMPSON comb. nov.=Macrohoplitis kalisi ROEPKE syn. nov.=Damatoides baibarana MATSUMURA syn. nov.14.Quadricarcalifera属の♂-交尾器は極めて特徴的な形態をしている.ROEPKE(l.c.)がジャヴァ,スマトラ,セレベスより記載したStauropopsis grisescens,同じくセレベスよりのS,dasychirinusは彼の示した交尾器の図からみて,明にQuadricarcalifera属の種である.従ってStauropodopsisをそのシノニムに指定する.ROEPKE(1951)は更に大英博物館に所蔵されるボルネオ産の1♀に基いてStauropus(?)がgrisescensなる種を記載しているが,本種もその交尾器の記載はないけれどもQuadricarcalifera属の種であることは間違いはない.最後の種が真に有効な種であるかどうかの決定は将来の研究に俟たなければならないが,その種名がQ.grisescens ROEPKE,1943に先取されているので,それに代るべき種名を提出しておく.Quadricarcalifera roepkei AKAMURA nom. nov.=Quadricarcalifera grisescens ROEPKE, 1951

著者関連情報
© 1960 日本鱗翅学会
次の記事
feedback
Top