蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
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  • 松田 真平
    原稿種別: 本文
    2019 年 70 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル 認証あり

    The differences between six morphological characters of the male androconia in Pieris napi napi and other napi group populations collected from Europe, Asia, Japan and Alaska are compared. The results show that on the basis of most of the characters the enigmatic type locality of Pieris napi nesis ( Fruhstorfer, 1909 ) remains dubious. Only one of the six characters supported the possibility of the type specimens belonging to the population of the southern-western part of Hokkaido, rather than that of Honshu, Japan.

  • 杉浦 真治, 阪上 洸多, 林 成多
    原稿種別: 本文
    2019 年 70 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル 認証あり

    スカシバ類成虫の形態や色彩,行動はスズメバチ類やアシナガバチ類,ドロバチ類に擬態していると考えられている.スカシバ類成虫は昼行性だが,他の昼行性の鱗翅類(チョウ類)と比べて訪花記録は少ない.隠岐諸島中ノ島と西ノ島において,2018年7月の梅雨明け直後にスカシバガ科3種の訪花行動を観察した.中ノ島の集落で植栽されたトウネズミモチでクビアカスカシバ雄とモモブトスカシバ雌の訪花を,西ノ島の放牧地に自生するハリギリでクビアカスカシバ雌とキオビコスカシバ雄の訪花を観察した.同時に,擬態のモデルと考えられているスズメバチ類やドロバチ類なども盛んに訪花しているのが観察された.モモブトスカシバはこれまでも多様な植物種で訪花が記録されてきたが,クビアカスカシバとキオビコスカシバについては著者らが知る限り初めての訪花記録となる.また,隠岐諸島からはこれまでモモブトスカシバを含むスカシバガ科6種が記録されているが,クビアカスカシバとキオビコスカシバは隠岐諸島から初めての記録となる.

  • 竹内 剛
    原稿種別: 本文
    2019 年 70 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2019/05/17
    ジャーナル 認証あり

    チョウは鮮やかな翅を持つために,性選択または配偶システムに関する研究の対象となってきた.チョウの配偶行動を研究する際の大きな問題の一つは,交尾する前に異性に対して,求愛ディスプレイのような典型的な行動を示さないことが多く,性的関心を評価する実験が困難なことである.キアゲハPapilio machaon (鱗翅目:アゲハチョウ科)の雄は,山頂に配偶縄張りを持つこと,飛翔中の雌に対して特有の飛行行動を示すと言われている.本研究では,キアゲハの縄張り行動と配偶行動を正確に観察し,記述した.雄は日中,山頂部に集まった.そこで雄同士が遭遇すると,一方の個体が山頂から飛び去るまで,お互いを追いかけた.この雄間相互作用の後,もう一方の個体は山頂に戻ってきた.したがって,この雄間相互作用は,縄張り闘争として機能している.雄は,他の昆虫や鳥など,様々な飛行する動物を追いかけた.しかし,これらの異種間相互作用は,同種の相互作用よりもはるかに短かった.キアゲハの雌が山頂に飛来すると,山頂を占有していた雄はその雌を追いかけ,雌の下から前方に出て,雌の上方から後ろに回る飛翔行動を繰り返した.雌が付近に止まると,雄も雌の近くに止まって,両者は交尾した.したがって,この飛翔行動はキアゲハの求愛行動シーケンスの一部とみなされるので,性的関心の指標として用いることができる.

  • 那須 義次, 重松 貴樹, 広渡 俊哉, 村濱 史郎, 松室 裕之, 上田 恵介
    原稿種別: 本文
    2019 年 70 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2019/04/30
    公開日: 2019/05/17
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    筆者らは我が国の様々な鳥の巣に生息している昆虫類の研究をおこない,多種の昆虫が鳥の巣に生息し,巣内共生系とも呼ぶべき特殊な生態系が成立していることを報告してきた(那須,2012;広渡ら,2012, 2017;那須ら,2012;Nasu et al., 2012;八尋ら,2013など).これら研究の過程で沖縄県の宮古島と南大東島の鳥の巣から日本新記録となるヒロズコガ科のSetomorpha rutella Zeller, 1852の発生を確認したので,成虫と雄交尾器の図とともに報告する.

    Setomorpha rutella Zeller, 1852ミナミクロマダラヒロズコガ(新称)(Figs 1, 2)

    前翅開張約12 mm.頭部の鱗粉はなめらかで,暗褐色.前翅は長方形,先端1/3が背方にやや折れ曲がり,地色は淡灰褐色で多数の黒褐色の斑点をもつ.後翅は淡褐灰色.雄交尾器:ウンクスは一対の滑らかな突起で硬化が弱い.バルバは大きく,先端に長い鎌状に曲がった突起をもつ.エデアグスは細長い.サックスは細長く,前方部は膨らむ.一対のコレマータをもつ.

    分布:世界の熱帯,亜熱帯域に分布(Diakonoff, 1938; Hinton, 1956; Robinson and Nielsen, 1993).日本:沖縄(宮古島,南大東島).(日本新記録)

    食性:乾燥葉タバコ,スパイス,豆類や貯蔵穀類などの乾燥した植物,ハチの巣,鳥の皮・糞,動植物質のデトリタス(Hinton, 1956; Gozmány and Vári, 1973).

    備考:本種が属するSetomorphinae亜科は日本新記録のヒロズコガ科の亜科である.本亜科は世界的に分布し,3属9種からなる小さな亜科で,成虫の頭頂の鱗粉が薄板状で,やや頭に押しつけられている,口器(口吻,マキシラリ・パルプス)が退化するなどの特徴をもつ(Robinson and Nielsen, 1993;坂井,2011).

    宮古島のリュウキュウコノハズクOtus elegans elegansの巣箱とリュウキュウアカショウビンHalcyon coromanda bangsiの自然巣から成虫が羽化した.羽化標本がRobinson and Nielsen (1993)などが図示した成虫と雄交尾器の形態が一致したので本種と判断した.本種はNasu et al. (2012)が南大東島のダイトウコノハズクOtus elegans interpositusの自然巣から記録したSetomorpha sp.と同じものである.

    幼虫は鳥の巣内では朽ち木屑や糞などの動植物質のデトリタスを摂食していたと推測される.英名Tropical tobacco mothが示すとおり,熱帯域の乾燥葉タバコと貯蔵穀類の重要害虫であるため,今後,鳥の巣だけでなく,我が国の穀類倉庫や屋内から発生して問題になる可能性がある.

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