蝶と蛾
Online ISSN : 1880-8077
Print ISSN : 0024-0974
Taxonomic Notes on the Genus Calicha MOORE and its Allied New Genus from Japan and Adjacent Countries (Lepidoptera: Geometridae)
Rikio SATO
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1981 年 31 巻 3-4 号 p. 103-120

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抄録
日本と近隣地域のCalicha属を再検討するとともに,近縁のMicrocalicha属を創設したCalicha属は,わが国にC.ornataria(LEECH)ソトシロオビエダシャクのみを産するが,本報では属の模式種であるC.retrahens MOORE(インド,シッキム〉をはじめ,C.nooraria(BREMER)(朝鮮,ウスリー),C.griseoviridata(WILEMAN)(台湾)も含め,4種を再記載し異同を明らかにした..Microcalicha属は,従来Boarmia属に置かれていたfumosaria(LEECH)クロオビモンエダシャクを模式種として創設された.Calicha属とは,雄触角,脈相が共通である他,属の特徴として重要視される1齢幼虫の斑紋パターンが一致するなど,両属が近縁であることは明らかである.今回扱ったMiorocalicha属の3種が,いずれもC.ornatariaと同様にニシキギ科につくことも生態面における共通点として指摘しておきたい.しかし口吻がCalicha属のように短小化していないこと,雌交尾器の形態が著しく異なっていることから別属を設定することは妥当であろう.模式種の他,日本のM.sordida(BUTLER)シタクモエダシャクと,インド・ボルネオのM.minima(WARREN)を同属に含めた.中国大陸から記載されている小型のBoarmiaのうち,いくつかはこの属に含めることができるかもしれない.なおfumosariaの近縁種として中国西部から記載されたichraparia OBERTHUR,異常型として台湾から記載されたab.fulvifusa BASTELBERGERは,ともに交尾器形態に種的な差が認められないため,それぞれ亜種として扱うことにした.台湾亜種の学名は,命名規約上,M.fumosaria Fulvifusa SATOとなる.
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© 1981 日本鱗翅学会
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