抄録
Gonepteryx(ヤマキチョウ)属の蝶の♂は,ふつう翅表に紫外線を構造色的に反射する斑紋を持っている.この斑紋(以下,紫外斑と呼ぶ)を重要な形質としてとりあげ,本属の系統と分布を論じたのはNEKRUTENKO(1968)であった.その後KUDRNA(1975)はこれに批判を加え,あらためて本属の再検討を発表した.彼は紫外斑には分類形質としての価値を認めず,従って各種の紫外斑に関する記述はない.筆者は,蝶にとっては「可視」のこの斑紋にも一般の色斑と同様の意味があると考え,各種(亜種)の紫外斑の記載を行うと共に,その発現の規則性と適応的意義について若干の考察を試みた.なお分類については,ほぼKUDRNA(1975)に従ったが,問題点もいくらか見出された.これらの分類学的な検討はあらためて行う必要があろう.