1988 年 39 巻 3 号 p. 187-191
カシワスカシバSesia rhynchioides(BUTLER,1881)は栽培クリの樹幹に食入加害するやや大型のスカシバである.その生態と防除については町田・宮下(1969)によって報告されている.また幼虫については服部(1969)によって記載されている.成虫の色彩ははっきりした性的二型を示すが,雄成虫は町田・宮下の上記の論文中に簡単に記載されているだけである.また井上(1982)によって講談社の大図鑑に雄として図示(pl.296,fig.23)されたタイプ標本は疑う余地なく本種の雌である.ここでは雌雄の成虫と雄ゲニタリアを図示し記載した.雄は頭部が青い光沢をもった黒色で胸部は黒であるのに対して雌の頭部は橙黄色,胸部前半も橙黄色である.腹部は雄で第4〜7節の前方1/3が黄色,雌では第4〜6節の前方2/3が幅広い橙黄色の帯になっている.